2006年02月09日
Skypeが電話を変え、世界のビジネスを変える。

ネチズンは電電公社の時代から相当な代金を貢いできた。電話代はミカカ代と呼ばれていたが、それはキーボードのNTTがカタカナで夫々ミとカにあたるからだ。それでも、商用BBSのアクセス速度は300bpsに始まり、2400bpsなんて速度になり、やがてISDNが入って9600bpsに向上し、その都度、僅かづつながらミカカ代は下がっていた…かと思いきや、実際は通信量が増えて結局は同じことか、もっと高くつくようになっていたような気がする。インターネットが始まってしばらくは、本当に悲劇だった。 つなぎ放題が深夜だから、深夜には極端に遅くなる。仕事にならんからと昼間につなぐと、月額7万円などということになる。このネット通信の意味のわからぬ税理士から「電話代が高い」などと寝言をいわれて「交通費はゼロだ」と切り返したのも、今は昔。使い放題の光ファイバー通信網が、全国の都会に世界でもトップクラスの通信環境を与えてくれている。(私自身は田舎にもどんどんブロードバンドをと思うが、それはまた改めて)

こうした、飛躍的に良くなったインターネット通信環境に支えられて世界的に広がっているのがSkype。無料電話ソフトで、WinでもMacでも使える。インターネット常時接続でSkype同士なら、どんなに遠くとどれだけ長く話そうが、通話無料。しかも、音質は電話の比ではなく「良い」。加入電話やIP電話でやり取りできる音の帯域は200〜3.4kHz。これに対して、Skypeは50〜8kHzの音が通る(日経ネットワーク誌2005年6月号記事)。これは、ピアノの鍵盤上の音域にも匹敵し、AMラジオと同じレベルの帯域幅なんだそうだ。ほかにも、通話品質を落とさない工夫が施されているそうで、いわゆるこれまでの電話とは比較にならないハイクオリティの通信手段なのだ。

また、050番号をSkypeにあてがって外からの着信をまかなえるようにも、もうすぐなるという。こうなると、もはや電話は本気で不要となる。さらに、Skypeと組んだら良いだろうなぁと思うのがPHSだ。NTTはPHS事業から撤退を決めたが、Willcomは順調。PDA型のPHSにSkypeを搭載すれば、インターネット接続できるところなら世界中かけ放題で、しかも音質で電話に勝る。ならば、情報通信インフラは要るが、電話は要らない。

なぜ私がこうも既存の電話を嫌うか。そもそも、着信者を拒否設定できず、忙しかったり、自宅でDVD映画を鑑賞していたりするときに限ってかかってくるセールス電話のような、他人や他社の時間に土足で踏み込む輩が後を絶たない電話など、誰が使い続けたいだろうか。そぉいうことをやる奴は、拒否設定されないように非通知ときているから、手も足も出ない。特に、電話の契約を変更したら安くなるというセールスが一番閉口する。Skypeなら、先に電子メールをもらって分かっている相手だけに着信許可を出すなど打つ手はあるし、どうせ携帯かPHSを持っているのだから、不足は補える。そして、何より、その昔毎月7万円以上も払い続けてきたそのミカカ代を思うと腸が再び煮えくり返り、もう一生NTTなんぞと付き合いたくないと思うからだ。

Skypeのユーザーがもっと増えてくれば、放送との融合もあわせて、通信はもっと劇的に変化を加速するだろう。その、変わった世界でのビジネスは、セールス電話なんぞかけようのない、全く違ったものにならざるを得ない。どうやったら情報をプルしてもらえるか ─ これこそが、その次に待ち構えている大きな課題なのだ。
by DIGIBEAR