2010年08月28日 17時11分 | カテゴリー: ツーリング2010

小樽の林道で空気抜き走行を覚えること

小樽ではまる一日休養。といっても宿主は私よりはるかに古いバイク野郎で一旦下りたのだが、つい一ヶ月前に WR250 だかいうセローの兄貴分にあたるオフ車を購入したばかり。新車でぴかぴか、カッコイイが俺では足が届くかあやしい。いや、しかし奴も別に俺より足が長いとも思えないんだが、そのへんはキャリアでカバーするんだろう。セローの新車が50万円なのに、こいつは75万円もするんだ。俺のバイクなら3台も買えるよ。ちょっと加速がいいとかカッコイイでオラ、そんなに出すのヤだ(-_^)。

バイク乗りさん達をみていると、どうもゼッタイスピードへの強い渇望というやつがあるらしい。わがバイクの師匠もBMWの元過激派も、この小樽人もみなそうだ。そ の一人からもらった70年代ぐらいに流行った映画のモータサイクルナントカみて判ったんだが、とにかくメチャクチャなスピードが好き、という人種が圧倒的 に多数派。あのスピードを自在に扱う、というあたりがキモなんだ。 でも、自分はまるきりそうじゃない。できればゆっくり歩くぐらいのスピードでいい、「汗をかかないで動きたい」派なんである。ココロはいまだに高校1年の時買って貰った「ブリジストン スーパースピード号」とともにある自転車派。北海道でもチャリだーと出会うとしっかり敬礼してしまう。

いまでもランドナーにココロ引かれるんだけど が、老い先短い身だし(^^;)、体力もないし、よくできたランドナーでも荷物をつけて漕ぐとなるとなかなかしんどいし、長距離を一気にカバーする、というわけにはいかない。その点、バイクはすごくて1日2,300キ ロそれも漕がないで高速道路を勝手に動いてくれる。もうそれだけで自分にとっては「スーパー自転車」みたいなものなんだな。 75万円もするんだよ荷物の積載量も歩きや自転車にくらべたら半端じゃないし、どんな坂でもぐいぐいあがっちゃう。自転車のいけるところならまず行ける、こうした点が魅力なんである。

だからどんなに素敵な高価豪華バイクでも「倒れたとき自力で起こせない」のは興味がないし、タダで呉れるったって多分要らない。本来、世界にはスゴイバイクがいっぱいあるのになんだかちょっと残念な気もするが。 だから乗り方も自転車と同じ。60キロ以下が一番落ち着くし、80キロはハイスピード。100kmなんて高速でやむを得ず遅い車を抜くときしか必要ない。 そんな早さで走るとクビ筋が疲れる。

一番違うのは下り坂で、自転車だとブレーキをかけるのがなんとなくもったいない、と思ってしまうのだが、バイクは掛け ないとえらいことになる。自転車のブレーキは後輪が主体だが、バイクは前輪が断然強い。後輪主体にブレーキをかけて曲がるのは前輪ブレーキが圧倒的に強いバイクではやらないんだな。この違いは今でも難儀で、いまいちタダシイコーナーの曲がり方、と いうのはよくわからない。

ま、どのみちスピードは遅いからなんとかなっちまうんだがなんかふとしたときにスィと曲がれることがあって多分バイク乗りはこうしてまがるんだろうなあ、とはおもうんだが再現できないや。

そんなわけで、林道走行でバイクは空気を抜く、というのも本には書いてあっても、実は良く知らなかった。なんのためだかわからない工具は「お守り」として5キロ近くも積んでい て、そのなかには小さなエアゲージもあったんだけどね。「修理道具を持っていればそれを使う機会はないが、持っていなければたちまち使う機会がやってく る」というバイクにおけるマーフィの法則を信じているだけのお飾りのようなもんだ。

ところが小樽人はさすがにゲージの使い方を知っていて、これで林道にいったら空気圧を弱めるのだ、という。ホンマカイナ、と裏山の林道でやってみるとビッ クリした。いままで必死になって立ってバランスを取らないと転けそうになる砂利と岩だらけの坂道をタイヤが舐めるようにして上がっていくじゃないの。なん か倍ぐらい上達したような感じでスピードも10kmからぐらいだったのが30kmから40kmぐらい出せてしまう。なーるほど、この種のバイクでよく雑誌 に泥んこになって走っている写真があるが、あれはこの感覚を快感とする人種なんだ。 マウンテンバイクでもうんしょうんしょと漕いで山道をあがっていくから時速4kmぐらい。その10倍も出せちゃうんだからこれは別世界の楽しみだ。

しか し、それじゃあ路面しかみえないんじゃないかなあ。これで楽に景色の良いところにでてコーヒーでもわかして楽しみたい爺としてはまあ、どうでもいいや。た だバイクのコントロールが楽になるから、今後、愛用しよう。平地におりたときスタンドかなんかでもいちど入れたらいいわけだし、なんかもっと楽に空気を入 れられるポンプなんてのもあるかもしれない。 そんなことを思いながら小樽の裏山、朝里峠とかナントカ村のほうの林道を何本か走る。1本が10km以上ある本格的な、東京近辺ではまずおめにかかること のない素敵な林道が、やつのアパートから15分もかからないところに無数にあるんだ。北海道はやっぱりいいよなあ。「冬になったらスノーモービルでも遊べ るから今年はやってみたい」と俺と同じ年の爺なのに言うのだよ。

エラソなこという小樽人も元々はスピード派だから実践は初めてらしくてエアー抜きの効果に驚いていた。将来、大型オフ車でアンデス山脈とか行きたいと。ど うせならあのへんでバイクを走らせながら死にたいそうである。うむ、特別養護老人ホームで寝たきり、なんてのより確かに魅力的だな。

執筆者: Jun