2010年08月30日 15時11分 | カテゴリー: ツーリング2010

本州は なんたる猛暑。十和田ににげこむ。十和田は秋田もあるんだね。

サーフィンに出かけるという高橋氏とおとなりの朝食の名人の酒屋の奥さんにわかれをつげる。このライダーハウスの特徴は整体とこの青函連絡船に乗船を待つお隣のおくさまの用意してくれる朝飯。350円かなんかでごはんと味噌汁がしっかり昭和の味なので爺はうれしいのだ。が、今回はフェリーが偉く朝早いので喰い損なった。残念である。おばちゃんに「来年はくいたい」とかいうて未練たらたら出発。年とるとどうも意地汚いなあ。あは。

フェリー乗り場までは20分ぐらいかな。着くとハーレーの青年がいた。ぼやっと話していたが「土曜日に東京から来た」っていってたような。今日は月曜日だ よ。まさか先週の話かな。たぶんそうだろうな。いや、しかしひょっとすると3日で東京ー北海道旅行?ま、東京ー青森が1000円高速で1日、なら、そして 若いから可能ではある。

とにかく猛暑だ、という本州へ。一応「今月中に東京へ帰る」といってでてきたわけだし。 青函連絡船、という名前がカッコイイよなあ。昔からあこがれていたが乗る背後は下北半島のははじめて。だいたいこういうロマンな名前の乗り物は乗らないほうがユメがあるんだわ。実際のって みると、ただのフェリーだし結構料金高いし。地図でみてると津軽海峡なんてほんのひとまたぎ、みたいにみえるが実際は3時間40分もかかるのね。しらなん だ。 最初はよろこんで甲板なんかあるきまわるが、すぐ飽きて大広間でごろ寝、というのもいつものフェリーパターン。

 

ちょっと違えようとヨガ体操なんかしてみた けど時間をもてあます。あまり人のいない部屋にいってごろ寝したら、いい年のばあちゃん連が5,6人あつまってヨメの悪口と遺産の残し方をずーっとはなし ていた。これはおもしろかった。 津軽海峡冬景色は劇的感動に満ちた演歌だが、実際はなんてえこたあなくスイスイ時間がたつと連絡船は青森についちゃうのね。狭い階段をおりてハーレー君と ならんでヒモをはずして下船。

 

おっと、おりたとたんに「本州の猛暑」がどどーっとおそってきた。しもた、こりゃ函館のほうがまだ遙かにマシだ。なんちゅう 暑さやねん。 ナビの液晶も太陽の光でみえないし、もうはやく山の中に逃げ出すしかない。これなら大間にいってカッパの湯かなんかにいったほうが賢明だったか。しゃあな いがな、と十和田を目指す。とにかく南に走ればいい。途中キャンピングガスのボンベ買いたいけど、ホムセンぐらいあるだろう。あれ、銭がねえや。セブン銀 行でおろさなきゃ。 そのセブンイレブンがないのだな。いくらいってもローソンしかない。どうやらこの県は秋田県同様、セブンイレブンがない県らしい。

 

まあまだガソリン代ぐら いあるからいいや。食い物は米を買う。が、無洗米がないなあ。あっても10kgとかじゃ多すぎる。2kg程度の無洗米、ってのは大都会のチョンガーしか買 わないんだろうな。しかたない、ちゃんと研いで炊けばいいだけだし。米さえあればあとはなんとでもなるのがキャンプツーリングの良さだし。 だんだん道が気持ちがいい。両側から広葉樹がトンネルのようにかぶさってくる日陰のなかを疾走する。こりゃいいや。北海道にはこういうのはなかったな。ど うしてだろう(・・?)。針葉樹がおおいのかしら。ここは全部広葉樹だ。

そのうち温泉の看板がでていたので「八甲田温泉」というのにはいってみる。古びた 感じの平屋の温泉の建物がなんとなく気に入った。温泉そのものもちょうどよく古い感じがなかなかすてきだ。湯殿の天井が8角形なのは「八甲田」にちなんだ ものか。ばんとうさんが予約の申し込み電話に「うちは古いからエアコンがないんですよ」と言ってる。客はそれで来るのを止めちゃったらしい。「すみません ねえ」と誤っている。なに、俺なら「そんな人には来てもラワンで結構で」といっちゃいそうだな。なにごともプロは大変だ。しかし、「自然を楽しむ」ならこ れだけ涼しければクーラーなんぞイランべさ。 風呂にはいって元気回復。露天風呂もいまやどこでもあるけど、ここの露天風呂はわりあい自然な感じで良かったよ。

さて、十和田湖はどっちかな。ほう、あれが 八甲田山か。あちこちに八甲田山大遭難の碑とか記念館?みたいな看板があるが、はてこれは昔からあったのか、新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」で210 名中199名が遭難した事件(八甲田雪中行軍遭難事件)が有名になったからできたのか。どうも後者のような気がするから、あまり立ち寄る気が起きないね。 素通り。 いつのまにか「奥入瀬」にでる。奥入瀬郵便局というのがあるのでここで資金を補充。これでこわいものなし。やはり現金は心強いよ。その気になれば旅館だっ てとまれる、という可能性はあったほうがいいや。むろん上げ膳据え膳の温泉だけ、なんてのは退屈で嫌だから行かないけどさ。

奥入瀬の景色は要するに道路脇を清流がながれている、というだけの退屈なモノ。こんな清流はあちこちにあるし、なにも自動車道路のわきの細い路を苦労して あるかないでもいくらでもそのまま河原や谷間をあるけばいいことではないか。笛吹川でもいいし。沢登りはもっと楽しいよ。ただどうみてもこちらが下ってる のに川が逆に上がってくるようにみえるのは確かにフシギだなあ。どんどん下るのにかわが逆にシャケの遡上のようにのぼってくるんだね。オモシロイ。 奥入瀬をぬけてまもなく十和田湖。案外近いんだ。十和田湖の展望台はそのままごろ寝してもいいようなロケーションだったが、まだちょっと早すぎて観光客が 数組くるからやっぱりキャンプ場に行こう。 このあたりバイクのスゴイところ。自転車なら1時間ぐらいかかるのが15分で十和田湖生出キャンプ場までついてしまう。でも、ふと気がつくとなんとここは 秋田県なんだ。

そうか、十和田湖って青森だとばかりおもとったけど、両県にまたがってるんだね。「十和田のヒメマス」なんてのが昔教科書で読んだ記憶が蘇 る。 鉱山技師の和井内貞行(1858~1922)が、ヒモノしか食えなかった当時、新鮮な魚をなんとか鉱山労働者たちに食べさせられるようにならないか、とキ チガイ扱いされながら22年間の努力で支笏湖のヒメマスのタマゴを十和田湖で孵化させるのに成功した、という話だね。これが映画になって今の十和田湖観光につながっているそうで、なるほど、八甲田といい十和田湖といい文学・芸術のちからなかりせば、今日のような有名観光 地にはなってなかったわけか。

なーんてことは全く知らず、和井内、という多分同氏にちなんでつけられた地名もみもしないで通過して生方キャンプ場いまごろ地図をみて、あ、あの分岐点の手前がそうだっ たのか、秋田側なんだ、とか感心してる。これはバイク旅のダメなところ。もっともヒメマスも最近では湖底のヘドロで減少の一途らしいが、これは湖周辺の下 水がながれこんでのことらしい。むろん、小生はヒメマスなど食せず、イブリガッコのつけもので晩飯。先着に自転車野郎がひとり。ただ挨拶してもろくに返さないのでこういう偏屈人にはかかわらないのがよろしい。だれしも旅先で一人偏屈になる権利はある。

夜になってオーストリア人の若いカップルと、650ccのレプリカにのった元気の良い女性ライダーが到着。こちらはフツーの楽しい旅人だから気持ちよく会話を交わす。女性ライダーはまっ暗になってからの大型バイクでの到着で、メットをぬぐまで女性とはわからなかった。おれの3倍以上の排気量のバイクだよ。夜中に湖畔にでてみると満天の星とときおり雷鳴。はて、へんな天気だ。明日はどうなるのかな。

執筆者: Jun