秋のツーリング日記。 秋だ、やっと秋だ。あの猛暑の記憶がトラウマになってかなかなかはっきり秋らしい気分にならないうちに、キンモクセイが香りはじめて、おわっちゃった。これじゃ冬が来てしまうで先週の週末、「能登に行こう」と発作的に決心・・・したわけではなく、週末にこの春うまれた孫の顔をみにでかけよう、というわけなのだ。しかし、俺も孫の顔を見に行く爺になったんだ・・・ま、とにかく出発じゃ。
初日は天気もよく、晴れた穏やかな暖かい日。風もない。朝9時前にのんびり家をでて、そのまま中央高速を西へゆったり流す。セローは80kmぐらいが無理無い速度だし、一番、安心なのである。途中、八ヶ岳で先輩の別荘にもしおられれば寄ろうかとおもったが、お留守、というか東京にいらっしゃるとのこと。残念ながら、そのまま諏訪へ。まだ1時過ぎ。距離をかせぐのが目的じゃないし、天気も景色もいいこのへんで今日はキャンプしたいな。
で、ツーリングマップルをみて、「おすすめキャンプ場」と書いてある「高ぼっち」というのが岡谷の郊外らしい。ナビにセットしてそのいうままにハンドルをさばいてたら到着するってんだから、キャンプ場探しも楽になったもんだ・・とおもいきや、あれれ、ナビがなんだか変な道を指すねえ。岡谷から塩尻をめざしていたはずなのにナビのいうとおりにいったら右へ、つぎも右へ、つぎを左へ、って元に戻ってしまったよ。そういえば途中に「高ぼっち」てえ標識があったね。あまり器械にばかり頼るとアホになるな。
えらく細いみちをどんどこ登っていくと、やがて広々とした、なんだか荒れた公園みたいなのがあった。ぽつんと一軒のトイレがあるだけじゃん。オシッコしてよくよくみると、この先にももうひとつ広場があって、そちらには自然保護センターがあるらしい。そこはなるほど、前より広く、見晴らしもよい。北アルプスがぜーんぶみえるじゃないの。わかり易い槍ヶ岳の頂上、そのそばの峨々たる穂高、あっちは赤岳か、そのうしろは黒岳か、立山方面までずっとみえる。こりゃすごい。広々した駐車場には柵がしてあって、左端に三角屋根のログハウスみたいな自然保護センターがある。
センターにはボランティアのおじいさんとおばさん数人がいたので「キャンプ場はどこですか?」と訊ねると、「キャンプ場はこの先にあったんだが、去年、火事で焼けちゃってねえ」と言われてびっくり。おっとと、わが心はもうここで星空をみあげてキャンプする、と決めちゃった。「いやー、それを楽しみにしてきたんですがね〜」というと、おじいさんニコともせず、「なに、客がおらんよになったらそのへんにはりゃええ。なんならうちらが作った椅子やベンチもあるから」といってくれた。 来るとき、「家族のひろば」とかなんとか書いて木の切り株の椅子や机がならんでいたところはキャンプサイトにいいなあ、とこちらもおもっていたのだよ。大感謝。ただここのトイレの水は飲めないというので、それならガソリンがないから下までいってついでに水を汲んでこよう。まだ3時前だもの。この道をずっとくだると松本市にでる。崖の湯なんて温泉もある。
かくて、テントも無事はれたから、諏訪湖側を見下ろせる頂上へむかう。おお、こんどは南アルプスから中央アルプス、富士山、八ヶ岳までみんなみえる。ふーむ、これはひょっとして高ぼっちは360度、日本の高山がみえる場所なんだな。だから「高ぼっち」。しらなかったけどきっと有名なところなんだろう。駐車場だってすごくひろいもの。 もっとも秋のこの月曜日なんてのはあまり人もいないし、夜暗くなったら貸し切り状態だな。しめしめ。これで、満天の星もおれだけ独占・・・と双眼鏡をもってきてよかったあ、とおもったんだが。残念ながら夜中はどんどん霧がでてきてなんのこたない視界5メートルになっちゃった。ま、いいや。キャンプ代ただだし、こんないいところ見つけたんだし。ここは長野ツーリングの拠点にできる。
ビールと米の飯たいて、あ、おかずがないや。缶詰のいらないのいっぱいもってきたはずなんだが。酒のつまみの焼き鳥でメシくっちまうことになりそうだ。ちゃんと野菜とか持って来なきゃダメじゃん。タマネギ、ニンニクぐらいはもってくるべきだったがこのへんが気合いの入ってない証拠なんだな。
執筆者: Jun