が、この分野の製品開発がアメリカで進められた最大の用途は、やはり 軍需、Future Force Warrior だろう。それこそ、兵士は敵・味方の瞬時判別は言うに及ばず、作戦やデータ、命令などの情報をスカウターを介して得られるのだし、逆に現場の映像は兵士がカメラを持っていればどこにでも送り届けられる。良く知られた Land Warrior system である。今、10年を経てようやく日本で再び、そんな技術が実用で世に問われようとしているわけだ。
恐らくこれから、この分野は脳の活動を読み取らせてコンピュータを動かす方向に進んで行くだろう。なんせ、 Wiiを脳でコントロールする製品のデザイン は昨年、既に世に出ているし、 脳でコントロールする兵器でも、既に特許が取得されている 。脳で直接コントロールできれば入力デバイスは変わる。要らないというところまで一足飛びに行くかどうかはともかく、シンプルな命令なら既に、十分伝えられるはずだ。恐らく、NECなど日本の関連企業は、米軍と共同作戦を行うために各種兵器が共用可能になっていることを考えあわせると、基本的な製品を市中にリリースしつつ、先端で軍事用途での研究を進める必要があるのだろう。かつてステルス兵器のペイントが日本で生み出されたように、Future Force Warriorの画期的なキモも、この日本で生み出されるように思う。
2009年10月27日
現実はSF小説よりも突飛なり
米Xybernaut(ザイブナー)という会社をご記憶の方も多いのではないだろうか。2005年に自己破産申請してから、知的財産を基とした再建を目指していた。
このXybernaut、ウェアラブルPCの特許を…
ことごとく押さえていたことで知られる。2000年には日立製作所とライセンス・OEM契約もしていたXybernautだが、実際の製品やシステムが実用普及したとまでは言い難かった。一方、IBMも1998年前後にウェアラブルPCの開発を進めていた。
その後、Xybernautの特許にぶつかったのだか何だか、ウェアラブルPCについては各社とも休眠したかのように見えていたし、各社からぽつぽつと散発的に小型モニタのリリースの話題などは出ていたものの、トータルシステムとしての製品の話題は耳にしなかった。
しかし、昨10月26日、今までそんな流れとは無縁だったかのように思えたNECから、メガネ型網膜走査ディスプレイとウェアラブル端末による 業務支援システム「Tele Scouter」が発売される と報じられた。果たして、これでようやくXybernautが描いたビジョンはこの世で当然のインフラになるだろうか。
Xybernautのビジョンというのは、工場のメカニックや保守メカニックが分厚いマニュアルを持って回ることなく、スカウター(メガネのようなディスプレイ)に映し出された画面にマニュアルを呼び出し、必要に応じて検索するなどしながら作業を進めるといったもの。往年のXybernaut製品の説明資料には、水道管メンテナンスのために地中配管図を見ながら地中音を聞き、漏水点検をしている写真などが掲載されていたものだ。
▲在りし日のザイブナーのパンフレット
当時はワイヤレスインターネットの速度が遅かったからPCMCIAなどでCDドライブをつないで使うといった拡張が考えられたのだが、今ならブロードバンドワイヤレスでどこからでもメインサーバーの膨大な資料が呼び出せるので、実用性は飛躍的に高まったと言って良いだろう。ちなみに、当時のカタログにあるスペックは、CPU Am5x86 133MHz8MB EDOメモリ。OSは標準がMS-DOS/Windows95で、NTかSCO UNIXが動作可能。一応、電話もつながる仕様ではあったのだが、いかんせん速度が遅かった。
しかし、生産性向上のポテンシャルは常に秘めていた。例えば、クラウド接続されていないパソコンすら持っていない場合、「持って帰って照らし合わせ、確認の上ご連絡します」だったのが、クラウド接続で「今、確認しています」に変わり、さらにウェアラブルで「確認しながらやっておきました」となる。作業そのものが資料と同時並行なのだから、当然。医師は膨大な医療資料を、患者から目を離すことなく随時参照しながら治療に携われる。どれほど生産性が上がるか、想像がつくだろう。二度足を運ぶ仕事は一回に。一時間かかっていた仕事は数分に、である。
ウェアラブルコンピューティングでは他にも、腕につけておくリストPCなど 様々なアイデアがこれまでに形にされている 。
が、この分野の製品開発がアメリカで進められた最大の用途は、やはり 軍需、Future Force Warrior だろう。それこそ、兵士は敵・味方の瞬時判別は言うに及ばず、作戦やデータ、命令などの情報をスカウターを介して得られるのだし、逆に現場の映像は兵士がカメラを持っていればどこにでも送り届けられる。良く知られた Land Warrior system である。今、10年を経てようやく日本で再び、そんな技術が実用で世に問われようとしているわけだ。
恐らくこれから、この分野は脳の活動を読み取らせてコンピュータを動かす方向に進んで行くだろう。なんせ、 Wiiを脳でコントロールする製品のデザイン は昨年、既に世に出ているし、 脳でコントロールする兵器でも、既に特許が取得されている 。脳で直接コントロールできれば入力デバイスは変わる。要らないというところまで一足飛びに行くかどうかはともかく、シンプルな命令なら既に、十分伝えられるはずだ。恐らく、NECなど日本の関連企業は、米軍と共同作戦を行うために各種兵器が共用可能になっていることを考えあわせると、基本的な製品を市中にリリースしつつ、先端で軍事用途での研究を進める必要があるのだろう。かつてステルス兵器のペイントが日本で生み出されたように、Future Force Warriorの画期的なキモも、この日本で生み出されるように思う。
事実は小説よりも奇なりというが、今どきの現実は、時にSF小説を凌ぐのである。