2015年06月18日 13時40分 | カテゴリー: 総合
西式枕への挑戦
西式健康法というのがある。「ああ、聞いたことがある」という人はいるだろうが、「やったことがある」という人はあまりおらんのじゃないかな。というのは物好きなジジはあの「枕」を何年か前に購入したのじゃが、とてもとても痛くて数分もできるもんじゃあないのだ。物好きジジでこれだから、フツーのケンゼンな人物があんなものをやるとはとても思えぬ。
で、数千円した桐の枕はそのままかっぽっておかれて邪魔だなあ、ということになっておった。それがこの間、また押入れの隅からコロンとでてきちまったのであるな。しかしもう懲りておるからそのまま本棚にあげておいたのだが、昨夜つかってみたらすくなくとも30分ほどはしていられたのと、その考え方が実感できたのであった。
この半円形の枕は頭ではなくて、頚椎にあてる。だから、どっちかというと頭は後ろに傾いたような状態になる。頭をささえる、のではなく首を支えるわけだ。勢い、寝返りは打てない。無理やりころがろうとしても痛いだけだ。では一体なんの良いところがあるのか、というとこれをするとヨガでいう「死体のポーズ」に自動的になるんだな。
屍体のポーズというのはただ仰向けにねてるだけみたいなもんだが、慣れないと全身の緊張をゆるめることができないし、とくに腰の裏側の緊張は無理。人類が立ち上がってから一挙に上半身の重みをうけてささえて何十年、脳みその方は当たり前すぎてその苦労をおもってもみない、というのが腰で、だから腰痛、という形で腰としては不平不満をいわざるをえないのだが、下層民のことをおもいもしない政治家のごとく、脳みそは「激痛」という反乱がおきるまで「感じもしない」のであるな。
したがって、ゴロンとねている、という状態と「腰の裏まで力を抜いて屍体のポーズができる」の間には画然と大きな差がある。ジジもこのあいだジムのカードをみたらもう4年ぐらい通っとるはずんであるが、いまだに腰の裏側(野口先生は「へそ」の裏だから「そへ」と呼んでおられたですな)が力が抜けてるのやら抜けてないのやらようわからん。
それがこの間、「骨盤スリム体操」というクラスに数回でてみたら変わった。これが横になって、おもに骨盤につながる筋肉を1、2センチ動かすだけという奇妙なうんどうなんだが50分やると汗びっしょりで翌日、妙に筋肉痛になる、という不思議な体操。5センチ動かそうとするともう動きすぎになるほど僅かな動きなのだが、それはみな体の奥の方にあるいわゆる「インナーマッスル」というやつを動かすらしくて、大きな動きだと大きな筋肉が動いてしまうから、そっちは動かさないようにするのだね。
で、その狙いの一つが脊柱の末端部の尻尾あたりの骨を、ほんの数ミリ動かすためというんだな。1、2ミリしか動かないそうだが、意識しない限りここがまず大抵は固まってしもとるらしい。するとその上部のすべての、つまり脊柱の動きが悪くなって無理がかかるという。これは、いわばムチの先端を固定してしまったらしなやかさがなくなってしまい、ハリガネみたいなもんになっちまうのでではないか、と勝手に想像するんだが、これもようわからん。
それがこの体操の結果、「立っている」という状態が楽になった…ような気がする。インストラクターによると「自然に立てる」状態だと足の指が上がりやすくなって、年寄りがよくやっちまう「小さな段差につまずく」という事故の予防になるらしい。つまり微妙に体重の重心の位置がやや後ろになるから、足の指の力が抜けて前のめりにならない、ということみたいだ。
その違いは電車にのったり新幹線に乗った時にわかった。椅子の背もたれがいらない。もたれないほうが楽に感じる。骨盤の上に脊髄がすっと立っていてそれが重さをささえるから、背もたれを利用する形になるとかえって脊髄が曲がってしまって「こっちのほうが楽ではない」と体が反応しよるんだね。
で、電車のなかに座っている人を見ると、うーん、一両に一人ぐらいはそういう人がいなくもない、という程度かな。それも昼間のあまり混んでない時ね。通勤時はもうくたびれ果てたサラリーマンとかが主力だから、これはもう全員がぐったりと背もたれに体重を預けているな。無理もないわいなあ…こっちは隠居だからこんな暇なことを「実験」して喜んでるが、現役はそうはいかないわね。ただ、隠居はジジだから少しでも日常の動きが楽なほうがええわけであるから断固として追求するのだ。
で、立っていようが寝ていようが「最小限の力」もしくは「いらない力をできるだけ抜く」ということになると同じことで、その体勢で横になった場合と、「西式枕」を使って寝た場合がまったく同じだあ、ということに気がついたわけで、やっとあの硬いどーしよーもない、高い買い物をしたとおもってほったらかしていた木枕をつかってみることにした。
数年前に買った時は3分としてられなかった拷問の道具みたいだったのが、おや、案外気持ちがいい。うむ、これはなかなか、自然にちからがぬけるわい。それに首の後ろも前ほど痛くないではないの。ふむ、これは結構眠たい時なら、このまま寝られるかもしれない。
ほんとに、これで寝た人がいるのかな?とおもってググってみたら、あはは、なんと
あった。
かの甲田先生でも2年間かかったって?うーん。こりゃあ、ちょっと挑戦しがいがあるねえ。このページを書いている人で、半年以上とな?あはは、すこしづつやってみるべい。ちょうど季節もふとんとかなくても床にゴロンと寝られるしね。
いや、別にどこもわしゃ悪かったりしとらんがね。年取るとボケないで昇天するひまで健康でおるのがお仕事であるからな。しかし、あんたもひまじゃのう、こんなところまでよみなさったかw。ま、60歳を数年過ぎてよろけたり、つまずいたりしたときに、この木枕の話をおもいだしなされ。いまはこんなとこまでよむぐらいエネルギーがあまっとるなら、さして体にわるいところもないじゃろけんど、ちゃんとジジになるとあちこち故障がでるから、安心しなさい。そのとき西式枕ができるようにがんばれば、体はたぶんようなるよ(^_^)/