20170509-fullsizerender__5_.jpg

私は人に影響を受ける方ではなく、とくに恩人とかいう人も思い浮かばない。でもなぜか私より25歳も年上だった森永さんには死後も別格の思慕が湧いてくる。

山や辺鄙なところに撮影にいったりした過去の道中のなかで、いまでもそこを通るとき,どんな話をしたとか、そこでラジオから流れていた音楽を思い出したりする。

森永さんをひと言で表現すると「無味無臭」といった風で、人間のアクというものが全くなかった。

私に向けて教訓めいたことを聞いたことはなく。若い私の人生観への影響を避けているように感じた。

それが何故なのか、どこからくるのか分からなかったが、多くの同僚を失った旧海軍時代に遠因があったのだろうか。

その飄々とした淡白さは生活感のなさを生み、ご自宅で普段着でいても類例のないダンディーさがあった。

とくに印象的な言葉があったわけでもなく、行動に憧れたわけでもない、森永さんからにじみ出る、その透明感にあこがれた。

» 続きを読む