JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
桜はこの城址に来る 人知れず深遠なところ
桜が咲いたよ お父ちゃん
桜には つい、こう言いたくなる何かがある
桜が咲いたよ お母ちゃん
二歳になれなかった お姉ちゃん わすれない。。
桜が咲いたよ おばあちゃん
桜が咲いたよ おじいちゃん
関西から息子が城址を見にきた
開花の始まりに青空に恵まれた 純白な雲が哀しくなるほどの春の日
南風に早くも散る花もよう ゆく花を追う子ども
散る花びらをエプロンのように受ける
吹けよ南風
護りの土塁の上を歩く
武田家ゆかりの慈眼寺 勝頼が遺品を託した古刹
この橋を渡り 春浅い春の野に向かった悲運の勝頼。。
散りゆく桜 勢いを増す桃の花
昨年と同じ場所に時を再現する 桜にも子供にも 等しく流れた時間
欅の巨木はむかしを語る
偶像
ゆく河の流れは絶えずして もとの水にあらず
桜の道が 尽きるあたりが もう見えてきて。。
百均のシャボン玉が 城址に漂う
歓待する桜に 乾杯
偶然とは神である
何周も歩いた 土塁の道
暗くなるまで遊んだ
兄夫婦を連れてきた 長男に恵まれた父母
その幸せを託すに足る 心優しき兄に感謝
城址に夕暮れがせまる ここに経過した500年の明け暮れ
もの想う。。 その静寂
灯りを持つ人が とおり抜けてゆく
土塁の上の路も暗くなる
土塁の上からの甲府方面のあかり
誰もいなくなった小山城址 見納めに振り返る
さよなら桜 また来る春を
小山城址を後にする
小山城址の近くの自販機
桜の末尾を引き継いで桃の濃い色が夕暮れに妖しい
執筆者: kazama
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