JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
日本海へ向かう時、甲斐の国の重鎮 甲斐駒が岳を見上げてゆく
この山の偉容に身が引き締まる想いがする
武田の時代に甲斐から他国に遠征する人も同じ想いだったろう
甲斐駒から北へ尾根を辿ると前衛の砦のごとき鋸岳がある
息詰まる複雑で神経質な岩稜は たおやかな赤石山脈の刃
前代未聞の雪の少なさ 長野を過ぎ野尻湖や妙高辺りから雪になる
濡れた道にヘッドライトが映るのが北陸の冬の情感
海はすべての終着点 山で生きた樹が海に辿り着く
その骸に つもる雪
柏崎から出雲崎への海岸にでる
海の畑に雪が降る
強い西風に樹木も順応する生きざま
雪のなかでは色がとても目立つ
海を見る その暮らし
海に生きた人生 その想い
沖合に竿さしゃ届く(笑)佐渡が見える 出張のあとに訪れた日
路線バスの運転手が、待ってるから景色を見て来いと言ってくれた
乗り換えが一時間半あって 何もない田んぼの中でぶらぶらした
初秋の気配漂う日本海 あの独りの時間こそが かけがえのない時
西風吹きすさぶ角田岬 角田山への道標が朽ちていた
角田山に母の死後十日ほど経って登り、避難小屋にひとり泊まった
ふと目覚めるとストーブの横に母が座っていた
無言で私への穏やかな眼差し やはり来てくれたと思った
角田山は 母の想い出が沁みついた山になった
岬から角田山への登路 この海からあの山頂に登ってみたい
廃材に雪。。ドラム缶に残る色 置き去られた物のストーリー
崩壊の進むトラックにも雪
そのなかに生きる物の色
神はそこにいる。。。
北陸線の通る漁村 笠島駅付近
海運から陸路へ 壮大な8号線陸橋
北陸線路に また雪が降り始める
雪の降る街を。。
食堂 いるか ソフトクリーム(笑) 寄ってみたい
いつも通る馴染みの(笑)まだ見ぬ美容師のおばさん? 会ってみたい
家並みが途切れる
強い西風に完全停止のトンビ 鋭い眼力での見張り
その美しいフォルムと天性の翼面感覚
そのどアップ(笑) 小動物にとって天駆ける猛禽の牙 おそろしや
米山の守護神 聖が鼻 前回はこの突端に立つべく登った
しかし先端を目前に深いギャップと細いリッジに怯え退却した
米山の象徴 威風堂々たる米山本峰
寮で同室だった同僚が小学生のとき登った話をしてくれた
結婚式の司会をしてくれた彼の ふるさとの山。。
ふるさとの 潮の香にあり 米山に。。
山国生まれの私に 海鳴りの届くふるさとの夜
... 彼の話が心に沁みた
生い立ちこそ大切な 尊重すべきもの
ここは私にも 無縁の土地ではない
マディソン郡の橋ならぬ(笑)寿橋のたもと 必ず立ち寄るところ
以前の寿橋 左の家がなくなった
中学生の彼が この寿橋を渡ったろうか
この海沿いの街の光景に魅了され、必ず立ち寄るようになった
旅先でこういう場所は、ほかにもある。
共通するのは地味で何の変哲もないことだ
無意識のうちに、旅先では平凡な日常を求める心理になるのか。。
この街でひっそり暮らしたい ふとそんな想いがよぎる
10年以上前の米山の街 聖が鼻も街並みも変っていない
まだフィルムの時代、フジカ6x7。モノクロで撮りプリントした
この写真を撮った時 犬の散歩の人が居た。どうということない光景
その日常の退屈さがむしろ 価値あるものと見えるのが旅の心。。
そしてそれは自分の生活の中にもあって
旅は日常の幸せを再認識することでもある
あの犬の散歩の人はこの街のどこかに居るだろうか
そして犬は生きているだろうか。。
そんな回想をしていると、また雪が降ってきた
たちまち聖が鼻が霞んできて、瓦屋根を白くしてゆく。
たぶん来年の冬もまた、米山にくるだろう。
この地に巡る季節に幸あれと 8号線を南下した
右に海を見て 周期的な雪雲のなかを走る
滝の真水が凍るほどの この冬初めての寒波
雪雲の間から差し込む光に 妖しい海の色
次の雪雲が 沖合から押し寄せてくる
必ず訪れる 名高の高台からの海
この海と空を舞台として 神の戯曲が演じられる
空は憂い 海は嘆く 寄るべもない木の叫び
ひゅるり ひゅるりらら~♪
哀しみ本線日本海
白い雪がこの情念の海に しんしんと降るのを見たい
また雪雲がやってくる 筋状の雲たる所以
海へ向かう細い径が 尽きるところ
これより先に茫漠たる ソラリスの海*1 はるか朝鮮半島まで
ソラリスの海が暮れてゆく
名高の海岸にある食堂 小学生が食卓で勉強していた また来年
妙高を越えて帰る300km
*注1:ソラリスの海 アンドレイ,タルコフスキーの映画
「惑星ソラリス」の人間に幻覚作用のある有機体の海
という独りよがりでした(笑)
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執筆者: kazama
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