JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
深まる秋の霧ヶ峰 その寂しさに為す術もなし
霧ヶ峰の八島湿原に「あざみの歌」の歌碑があった
なぜか好きな歌の作詩が横井弘さんであることが多い
山には山の 愁いあり
海には海の かなしみや
戦後生まれの私に、そういう概念はなく、登山を通じて山の憂いは解るつもりだった。
しかし海のかなしみというのは湘南やハワイの明るい海のイメージがあって呑みこめなかった。
やがて冬の日本海を見て、その悲壮感と重厚さに魂を奪われた。
それ以来、危険な冬山の代わりが日本海になり、安全にはなったが
、いくら通っても、荘重なその空気に、ただ呑まれるばかり。。
そんな海が胸のうちを占めるようになってから、山へ行くと海を想い、海では山を想うようになった。
峻烈で穢れなき山と、対比して清濁併せ呑みこみ浄化する海。。
それは山に高貴な理想を目指す父性。海より深い母性という愛。。
そんな概念を持つに至ったルーツに、この歌の冒頭の二行があったのではないだろうか。
この類いまれな影響を受けた歌が生まれた八島湿原は霧に包まれ、もう晩秋の空気に身も心も浸った。
名作の生まれる条件。。それを生むのは人間だが、その人間に働きかけるのはその場所であり環境である。環境に順応し、そこに美を見出すに至った人間の健気さと、その人間に生まれてよかったと思う
執筆者: kazama
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