JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
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Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
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以前、鉄塔武蔵野線という小説があった。
幼少の頃の息子が送電線と鉄塔が好きだったので興味深く読んだ。
小学生の少年二人が送電鉄塔に惹かれ鉄塔武蔵野線の源流を訪ねるという内容だった。
鉄塔に惹かれてゆく感性とプロセスにおいて文献やメディアなどの影響はまったくなく、
全て少年達のオリジナルである。
情報過多社会のなか、趣味といっても類型化や他人の評価の鵜呑みという現象がある。
しかしこの少年たちの鉄塔への思いの純粋さと行動のユニークさは、
ものに凝るということの原点を感じるものだった。
私の息子は鉄塔をなぜか男型と女形に分類していた。
そこには特に根拠はないが、それと全くおなじことを武蔵野線の少年たちもやっていた。
私も子供のころトラックが男でバスが女、みたいに思っていた。
どうやら前提として性別を区分けするのは普遍的に必要なことのようだ。
この鉄塔は昭和5年に建設されたという。いらい80年の歳月をこうして立っている。
昼も夜も、雨も晴れも、ただひたすら立ち尽くしている。
天竜南線は主に山岳地帯に170基以上の鉄塔が立っている
昭和初期という、まだ人力中心の時代、その建設にどれだけの苦難があったろうか。
現代社会はそうして築いた基盤のうえに立っている。
執筆者: kazama
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