JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
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Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
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… 時代はめぐる …
なんとなく、ごく普通のセダンに変哲なく乗りたいと感じてきたのは、変わった車ばかり乗ってきたからだろう。波というのは力学的なものだか心にも当てはまるようだ。
『うちには普通の車がない』…生まれたときからジープがあり初めて運転した車もジープだった子供たちの言葉だった。
私のセダン志向は揺り戻しだが、息子がスタンダードなセダンの典型であるタクシーを買ったのは、たぶん我が家にない『普通』にあこがれていたのだろう。普通というのは退屈の象徴とされているが、それが無いとなると憧れの対象にもなるようだ。
息子が買ったタクシーで帰ってきた、我が家に黒塗りのセダンは違和感がある。近所の人達からも『何かあったんですか』と言われた。神戸ナンバーの黒い車は関東では警戒に(笑)値するのではないだろうか。
試乗するとなるとやはり後席に座りたくなる。タクシーの乗り心地の良さは出張や冠婚葬祭の業務色の利用での束の間の安堵感みたいな、心理的なものだと思っていた。しかし座ってみて後席の広さとシートの出来の良さからくるものだと再認識した。
運転して見ると、とんでもないハイギヤードである。それを支えるのは3Y形OHVの古参エンジンの穏やかな低速トルクである。
プロパンガスの腑抜けパワーを連想していたが案外そうでもない。4速コラムだか2.3速の使い易さと燃費を狙ったのだろうか。結果として醸し出されるイージードライブはいままで味わったことがなかった。やはり業務となると楽しさより疲れない方が大切なのだろう。
大柄な乗用車というカテゴリーそのものがリニアなハンドリングなどを求めたものでなく。おっさんのズボラな運転に応える大らかさと乗り心地を求めたものだろう。これまで私が望んで来たスパルタンな乗り物とは一線を隔した事であることを認識した。
気になる燃費はリッター73円で13km程、軽自動車以上の経済車である。80リッターは入るから航続距離は千キロ近い、これなら気になる給油ポイントの少なさも何とかなるだろう。
浮かんだ絵柄は無料のタクシーの乗客として山陰でも旅行したらいいだろうという想いだった。
執筆者: kazama
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