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2018年02月02日 21時15分 | カテゴリー: 総合

余部から城崎を経て丹後・・経ヶ岬にて

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これは以前の余部鉄橋

( 余部の同僚 )

山陰の余部鉄橋の先。新温泉町に退職した同僚がいた。人付き合いの億劫な私にしては珍しく、山陰に訪れたら連絡し・共に食事もした。一見すると怖そうで寡黙な男だが・関東から訪れた私をとても懐かしんでくれた

余部鉄橋にも共に上がった・・その彼は昨年に急死・・それからの彼のいない山陰の空はなんとも寂しいものだった。

たとえ見知らぬ土地でも・そこが知人のふるさとであれば・どこか知人を育んだろう気配がある。

橋を通るときなど・この橋を高校生の彼が通っただろうかと想像したりする・彼にとってのかけがえのないふるさとは・私にとっても無縁の土地ではない

訪れた土地と・そこで育まれた知人を偲ぶことが出来るのは幸せなことだ

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現在の余部橋梁・山陰本線の余部駅にはエレベーターが設置された

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余部灯台は能登の猿山とともにファンになったが積雪のため集落で断念

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納屋の中から猫の視線・・余部ネコ(笑)

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城崎を過ぎて京丹後市に向かう・この地名と場所柄に惚れ込む・この街並みを歩いてみたい

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京都新聞・・購読してみたい(笑)

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経ヶ岬へ向かう

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( 経ヶ岬にて )

今回は積雪のため行けなかった経が岬だったが・数年前の冬に車中泊して灯台まで歩き・夜明けの海を見たことがあった

強風のため,日本海には無数の白波がはるか水平線の彼方まで見えた

私はそのうちの一つの波の、発生から消滅までの一部始終を見届けようと思った

何百何千という夥しい波の中でひとつの波がうねり、盛り上がり、波頭が砕け散って西風に白い飛沫を見せ、衰えて海面に消えて行った・・

その間およそ10秒足らずだろうか。私は今しがた消えて行ったその波の形を記憶しようとした

何処と言って特別なところもない波のかたち・・しかしあの波は、もう二度と現れることはない

この海の風と波の光景は人類が生まれる遥か前から続いてきた。そして今しがた生まれ、10秒も経たずに海に消えて行ったあの波・・それは何億年という繰り返しのなかで、あの波という個体が初めて生まれた瞬間だった。たった一回のあの波は・これからの未来永劫にわたり、どんなに宇宙が続こうが再現されることはない・・

その一部始終を今しがた見られたあの波と私とは、この世の一期一会である

そのことにおいて、あの波と私は同格であり、私もあの波と同じで、この宇宙にたった一回きりの、未来永劫現れることはない

そのことは何も哀しくも感傷もなく・ただ淡々と現われては消える波によって示された、とるに足らない、当たり前のこととして感じられた。。

奇しくもそれと全く同じことを帰路のジープのラジオから・たしか御坂峠のあたりで志賀直哉の文章から紹介されたのには驚いた。

以前読んだ「城崎にて」といい、その死生観には共感させられたが、小雪舞うその城崎を通っての丹後からの帰りに、この文章と出会ったのは出来過ぎた偶然だった。それでこの短文も(経ヶ岬にて)としたかった次第

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執筆者: kazama

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