JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
私が買ったカメラのなかでいちばん高価だったのがハッセルSWC。
25年ほど前、予期せぬ原稿料が入ることになったので、一生ものと思って買ってしまった。
その後デジタル時代になって、他のフィルムカメラがクズ値同然の中、さすが孤高の高値を保っていた。
記念に持っているつもりだったがもう出番もないことだし、フィルムがあるうちに手放すことにした。
しかし私の物欲は甘くない。これだけの大物を手離すのだから、その穴埋めは只者では務まらない。
そんな都合良い理屈をつけ、新鋭のミラーレス機で心の隙間を埋めることにした。
しかし永年にわたり、その高貴な存在感で私を充たしてくれたSWC、
今日を境にカウンターの向こうへ行き、二度と私の手に触れることはない。
置いてきた新宿が遠ざかるにつれ、その冷ややかな手触りがよみがえる。
執筆者: kazama
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