JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
三連休の中日の広河原。下山のピークは最終日かと読んでいたが実態は1640の最終便に集中した。
バスは三台あれば大丈夫と踏んでいたが、北沢峠からのバス一台分の下山客が追加され、さらに折あしく乗り合いタクシーが手薄でその分の乗客が全部バスに流れてきた。
甲府からの応援のバスを要請したが到着は1730を過ぎるかも知れない。暗くなる中、そこまで乗り遅れの乗客への対応を覚悟して乗り場に向かうと、天の助けか他の営業所の奈良田行のバスを甲府行として転用してくれるという。
そのいすゞLRのドライバーは何と若い女性である。車掌は私が代行することになり、超満員の車内へやっと乗り込む。そこに更に北岳から下山してきたお二人がチケットは後まわしで乗車、ドアを何とか締め発車した。
車内に混雑へのお詫びをするが後部までは声が届かない。。
ドライバーの彼女は、この屈指の山岳道路は初めてのうえ、超満員で、かなりなプレッシャーだろう。
夕暮れの低温と満員の登山者の熱気の温度差でガラスが曇る。
高度感のある核心部の辺りの走りにはさぞ緊張するだろうと思ったが、さすが奈良田線で鍛えられている運転ぶりは堂々たるものだった。
娘より若い女性の、超満員の大型バスを難なくこなす頼りがいには恐れ入った。
芦安駐車場で甲府からきたバスに乗り換えてもらい、大ピンチを救ってくれた女性のいすゞLRは身延まで帰っていったが、これまでの経験の中で、ここまで年下の女性によって助けられたことはなかった。
広河原を10分程遅れでスタートした最終便は、甲府駅の急行電車の時間ギリギリである。間に合うかどうか、、心配するお客さん。確証は出来ないが、間に合うかも知れないという状況がいちばん重圧があり、信号一個が命運を左右する。祈るような気持ちで幸いタイミング良く通過でき、お客さんからバスの前後どちらのドアを開けるか聞かれる。両ドアを開けることにして秒読み状態、ドアが開くと同時に電車のお客さんは重いザックを背負ったままダッシュしていく。
ここまでのハラハラした顛末にベテラン運転手が苦笑しながら
「あの走りなら間に合うな」と呟いた。それが大混雑だった連休が、どうやら無事に終わった瞬間だった。
執筆者: kazama
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