JOURNAL SKIN
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Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
15年近く前に娘が探してきたロードスターNAは素晴らしいコンディションだった。
ブリティッシュグリーンのVスペシャルという本革シートのパッケージはシックで、今でもロードスターの本命はこれだと思う。
掘り出し物だからノーマルで大事に乗るのかと思ったらとんでもなかった。ステアリングのリニア感を損ねるというのでパワステ撤去、おまけに軽量化でパワーウインドゥまで外した。ドリフトに凝ってサスをチューニングしLSDを組み込んだ。決定的だったのがバケットシートにロールゲージを装着したことで乗降性が極めで悪化、乗り込んだら降りるのに一苦労というありさまになった
それでも子供ができたらこのクルマで一緒にツーリングが夢だったらしい。しかし皮肉なもので過ぎたるは及ばざるがごとし、生まれてみたら双子の女の子で、ロードスターには定員オーバーになってしまった。当面乗るあてがなくなり私が預かることになった。たまには動かさねばならないので遠距離の友人のところへ出かけた。
がんじがらめでコンビニに寄るのも億劫になるだろうし腰痛も心配で覚悟して乗り込んだ。しかし意外なことにサスの硬さやバケットシートは返って疲れない。ほとんどロールしないから腰でふんばる必要がなく、硬いが体をしっかりサポートしてくれるバケットシートに委ねていればいい。切っただけ曲がるステアリングは路面の状況を伝えてきてパワステなしが正解なことを実感した。LSDで確かにドリフトはしやすくなったが、元来がどこまでもグリップするので、わざわざきっかけを作る必要がある。セダンなどではスピードを上げていけばどのみち滑りだすので、その前に自ら滑らせてしまいコントロールの主権を握るというのが実態だろう。この手の車ではその必要はないが、逆にとんでもない領域でグリップの限界が訪れるのが怖さなのかもしれない。
結果としてこのスパルタンさが疲れないことにつながるのは意外だった。疲れとはどういう要因で引き起こされるのだろうかと考えてしまう。
娘が再びロードスターに乗る日が来るのだろうか。双子の女の子が免許をとって乗ったら傑作だが、その頃はクラシックカーの範疇になってるかもしれない。
執筆者: kazama
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