JOURNAL SKIN
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Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
たまに車屋さんが、半年以上も寝ていた車にブースターケーブルをつなぎ、いきなりレッドゾーンまで廻す光景を見かける。エンジンの悲鳴が聞こえ、身の細る思いがする。始動直後の冷えきった状態は各部のクリアランスも規定値になっておらず、加えて油膜切れという状態でぶん回されたのではたまったものではない。こういうクルマ屋さんには整備を頼みたくないと思う。
星形エンジンで、オイルを回してから始動するシーンをみたことがあるが、ほんとはあんな手順を踏んでやりたいぐらいだ。
エンジンによっては始動後10秒ぐらいたってから、スッと音が滑らかになるものがある、いまオイルが回ったんだなあという気になる。 水温が上がらないまでも、最低そこまではシビアに扱いたいと思う。なのにこのオートチョークなるものはいきなり吹け上がる。特に寒冷な時期ほど、そのいやらしい傾向が強い。早朝ならば近所迷惑なほどで、暖気もそこそこに出かけるしかない。 なんでここまで回さないといけないのだろうか。
特に私のアクティのエンジンは3000rpmぐらい回ってしまう。バイメタル式なのか蝋式なのか解らないが、調整できないか開けてみた。 細かいリンクでどういう仕組なのか解らないが細いアジャストボルトらしきものがあった。ただペイントでロックされていて、いじるな、という意思表示がされている。果たしてそれで回転が落ちるのかどうかも判らないし、変なことになってもまずいからやめておいた。
大概がオートとかを謳うものにはろくなものがない。旧いジープのように手動チョークと手動スロットルの組み合わせがいちばんいい。 エンジン始動というのは、そこに儀式めいたものがあってもいいように思う、ジェットエンジンの始動などはそうとうな手順があるし、単気筒のSR400/500などもコツがある。ややこしいようでいて、またそこが機械との付き合いの愉しみでもある。
10年近く前から、オイルの分子成分に磁性があり、金属に付着して油膜を保持するという、申し分のないコンセプトのオイルが現れた。湿式クラッチへの懸念なのか、バイクには適しませんとあるが弊害はない。
思えば車ごときにそこまで気遣いするのは馬鹿らしいという意見が大勢だろうし、それは大人の良識でもある。ましてやそんな扱いをしなくても10万や20万キロぐらいは持つだろう。商品としてはそれぐらい持ってくれて、その後急速に劣化が進む特性が理想的なのだろう。
旧いものにしか魅力を感じない人たちがいて、私もそのたぐいに属することは間違いない。バイク出身の私は走行距離というより、エンジンというものを労りながら乗ることが好きなのだと思う。たぶんそれは高校生のころから、ポンコツばかり乗り継いできたことによって培われた感性なのだとおもう。
執筆者: kazama
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