JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
空冷2サイクルツインで70km/hぐらいしか出なかったが当時は不満はなかった。
それから空冷パブリカのピックアップのデザインの可愛らしさに惚れて乗り換えた。
荷台のアオリを開ければ何とかバイクも積めた。 このクルマは700ccOHVの水平対向空冷2気筒!という今日では考えられないエンジンレイアウトだった。パワーは28Psしかないが意外なことに2気筒ならではのパンチがあって、軽量さと相まって結構楽しめた。車重はセダンでも580kgというから500kgそこそこではなかったろうか。おまけに空荷では後輪加重が軽くてやたら滑る。当時はバイクのカウンターの練習ばかりしてたから、パブリカでもしょっちゅう試みた。雨の日は滑りやすさを利用し自由自在にコントロールでき、その後乗った車を含め、いちばんドリフトのしやすかった車だった。
スピードも軽く100km/hはオーバーした。バイクは積めるし、下ろせばスポーツカーのような軽快さがあり、小さいので自由自在になるような気がした。 そのうちにバイクの挙動を当てはめてジャンプも出来るのではないかという気になった。
いつも通勤で通る世田谷の道に極端に盛り上がった橋があり、バイクの時は大概ジャンプする所だった。
休日に交通量が少ないのを狙い、何回か試走のうえ本番にチャレンジした。OOKm/hくらいまで加速し、橋にかかると同時に全開にし、ステアリングを引き体重を目一杯後方に移した。その一連のプロセスはバイクでのジャンプのものである。
パブリカは確かにジャンプしたのだが意図した前上がりの姿勢にはならなかった。前下がりで視界は路面だけになり、えらいことになったと思うまもなくそのままガシャーンと路面に落ちた。直進は保たれたので大事には至らなかったがバンパーとグリルの下部が潰れ、擦り減ったナンバープレートは下半分の字が消えた。水冷だったらラジエターが潰れたろうが、空冷なのでメカ的にはダメージがなくそのまま帰れた。
車のキャビンの中でステアリングを引っぱり体重移動したところでバイクのようにいく訳がない、それから二度と車でのジャンプはしなかったが、しかし今でも良いイメージだけが残るキュートな車だった。
トヨタの最高傑作と言われたら空冷パブリカではないだろうか。
執筆者: kazama
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