JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.

〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN

2024年11月01日 17時39分

--- 広河原発甲府行き 最終バスにて ---

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もう登山シーズンも終わりかけた11月初旬のころ---

寒々とした広河原から、下山する数人の登山者を乗せ、甲府行き最終バスにのった。

もうほとんど暗くなった芦安駐車場につくと初老の登山者が訊いてきた

「駐車場はここでしょうか」 閑散として暗いので不安になったのだろう

「ここしかないですから大丈夫ですよ」 そう答えると「ありがとう」と降りていった。その先にステーションワゴンがあり、そちらへ歩いて行った。

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2024年09月28日 21時04分

槍の一歩

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40歳の記念に北鎌尾根を目指した
その頃はまだ貧乏沢からのルートはなく夜行で大町駅を降り高瀬川を遡った。朽ちた吊橋を渡り千天出会の渡渉ではロープを使った。夜行から北鎌沢出会のビバークまでの長い行動はバテた。
翌日は好天に恵まれルートファインティングを愉しみながら独標を超え,ルートに確証のないテラスで月下のビバークが沁みた。
北鎌からの槍は立って見えて登攀が気になったがチムニーも楽しく登り夏山登山者で賑わう槍の頂上へ北鎌のフィナーレ‥辿って来た高瀬川を感慨深く眺めた。ここからは一般ルート,降りに向けての一歩がヌルッと滑りヒヤリとした。北鎌の静寂から一転し,過度の登高に岩が摩滅し,加えてゴムの跡のような感触‥これは却って気を引き締めねば危ない,と緊張した。槍の登山道と言えば極度に利用され手垢にまみれ‥既に娑婆が始まっているのだ‥それが初めの一歩の感触だった。
 この山行は西穂までの予定だったが奥穂で雷雨に見舞われたのを口実に中断した,惜しいとは思わなかったが今思えば北鎌から西穂までの縦走をしたかった。

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2024年09月09日 08時03分

忘れ得ぬ山 … 晴れた能郷白山にて …

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単身赴任先の静岡から、遠路北陸の能郷白山に向かった。
この頃は森林限界が低くメルヘン的な北陸の山に惹かれていた

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2024年09月02日 22時45分

人間の土地   蝙蝠岳の避雷地

南アルプスの蝙蝠尾根から仙塩尾根を経て北沢峠まで、テント5泊の山旅を計画した。

2日目の蝙蝠岳直下。頂上に泊まろうと思ったら激烈な雷雨に襲われ、間一髪でハイマツの中に逃げ込んだ。

翌朝、テントを撤収すると、くっきり一夜の生活スペースが浮き彫りになっていた。この狭いスペースで雨をしのぎ、漆黒の深山の夜にくつろげる。人ひとりの生活空間は本来これだけあれば十分なのだ。(笑)

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おまけに座ったままですべての衣食住を処理できる。この暮らしに慣れてしまうと、下山してすべてのことが立ち上がらないとできない日常生活がなんと億劫なことかと思えてしまう。

このザックのなかに5日間の衣食住のすべてがあり、これが家であるといえる。これを背負い単独で寝泊りしていると野生に近くなったと自負するがとんでもない。たかが夏の5日間を過ごすだけで25kgほどの大荷物になってしまう。たいして野生は手ぶらではだし、全裸?である。さらに驚異なのはそれで厳冬期もしのぎ何十年も暮らす。同じ哺乳類でありながらこの生活力の違いはなんだろうか。

しかし一夜の褥とし体を横たえた土地を立ち去るとき、普段なら感ずることのない。その地への恩義が、なごり惜しい。

「罪と罰」に罪を犯した青年が良心の呵責から大地にキスするシーンがあった。北海道の方々もよく「大地」への思いを口にする。ロシアや厳しい北国の人の心に、むしろ大地への思いが強いのはどうしたことだろう。


2013/10/12

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2024年08月29日 15時01分

北岳と若狭富士(青葉山)

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( 栗沢の頭より北岳 )

日本の高峰の一二位を占める白根三山の縦走に際し
名高い大門沢の急登から農鳥へ登り、間ノ岳から北岳を経て降りてきた
若い女性2人に訊いてみた
『キツい大門沢をなぜ降りにしなかったんですか?』
ボーイッシュな方の女性が応えた
『北岳を目指して登りたかったんです,でも雲で見えなかった』
もう1人の彼女も頷いて笑った
‥ なんたる山への純真 こうならなければだめだと思った
難易度や合理性で行動するが,大切なのは 
それが憧れや心を満たすかどうかだ。
聞けば福井から来たという
若狭の海からの青葉山の姿に憧れ神奈川から行った話をすると驚き喜んだ
あの秀麗な姿,意外にも鋭い頂稜は若狭富士と称すに相応しく想えた。
ふたりが運んできた若狭の空気…滲み出るその郷土愛
14時30発の奈良田行きバスから手を振っていた 
ふたりの山に幸あれと思う

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( 若狭湾に青葉山 )
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2024年08月22日 14時50分

涼 二千二十米--- 

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白根南嶺を笊ヶ岳まで歩く途上、転付峠の石碑に、こう彫ってありました。

転付峠は山梨の早川から静岡の大井川の源流域へ越える旧い峠道、行程は7-8時間程。二軒小屋に入るなら椹島経由より案外な近道でもあります。

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2024年07月14日 17時52分

登山初心者 友人S

甲斐駒から鋸岳へ 友人Sのクライムダウン
私なら遥かにブザマなフォームに違いない

 彼は永年渓流釣りを趣味とし、本格的な登山経験は皆無だった。
沢の歩き方は洗練されていて、丹沢の沢登りでは私が確保してもらった。
 彼の本格的登山の体験を、いきなり奥穂から西穂の縦走としたのは、あの岩稜の鋭さを見せたいのと、3000mのステージへの彼の反応が見たかったからだ。

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2024年06月29日 15時21分

バットレスのささやき

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ボーコンの頭からの四尾根とマッチ箱のコル

未練はないが、ここを登ったリッジとして見上げたかった(笑)

 ( 単独の限界。。 )  
 登山バスのバイトを共にすることになった同じ年の人は眼光鋭い精悍な人だった。
むかし山を登ったというから当然北岳も?と聞いたらバットレスを登ったという。ただザイルに繋がって登らせてもらっただけだと、そのことへの気負いは全くない。

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2024年05月29日 11時24分

mountain view ...自宅より山岳展望

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左の小ピークが石和から金峰への尾根にある鹿穴という
展望はないが趣ある小天地 鋸岳にある似た名前が
なんだっけと出てこない自分に驚いた 後刻に鹿窓の名が
昔日の めくるめく登降の記憶とともに蘇った
無名の峠らしき鞍部の右が鬼山。金峰へのトレースから
何故か外れ、行ってみたら未踏だった、北へ降りると岩堂峠

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初夏の候になると大蔵教寺山北方の辺りに日が沈む
名前を忘れたが感じのいいピーク。昨年暮れにここで弁当にした
あそこはどんな風に暮れていくのだろうと想いを馳せる頃


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2023年10月09日 05時06分

富士山頂初冠雪の夜

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漠然とマッターホルンを目標とし、高山病に弱い私は訓練を兼ね、
いつも富士山は山じまいの後9月になってから登った。
10年前の9月12日の午後から山頂を目指し、異様に美しい夕焼けのなか山頂についた。
風が強かったので測候所脇にテントをはった。

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2023年09月20日 08時28分

9月20日はバスの日

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9/20 はバスの日‥
blue is The color はピンクフロイドから盗作

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9/20となれば夜明けは遅い 始発の空にもうオリオン座
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三連休の明けた今日は13人の登山者様が山に向かった
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午前3時の異次元の街を通り抜け登山口に4時過ぎにつき登山客を待つ
雨の予報などの日は乗客はゼロの時もある…それでもバスは運行する
自分のいない部屋を決して見ることはできないのと同じで
空のバスを知る乗客はいない
仮に乗客二人ならそれを知る人は2人
…混雑の40人のバスを知る人は40人…
その数学的論理でバスの混雑のみが多数の人に認識される…
都市部の価値観が日本全体を席巻する構造
  多数決社会の危険性がここにある

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2023年09月02日 16時02分

青い空 白い雲 無名の山稜

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青い空 白い雲
その空と接する緑の稜線
年取ってからその見え方に
恋焦がれるような憧れを感ずるようになった。
それは失った若さへの憧れに通ずる気がする
‥あの稜線に立ってみたい
行ってみれば只の樹林なのは分かっているけれど…

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2023年08月27日 15時56分

ニュースタイル

広河原の山荘ができてからシャワーを浴びて帰る女性が目につく。涼しげなワンピースに着替え足元は登山靴!というスタイルは新たなカッコ良さがある。
勤務を終えた私は1640発最終のバスでそんな女性の前の席に座った。暮れかかる野呂川の谷から夜叉神を超え,灯りの灯り始めた甲府の街に着くまでの凡そ2時間‥単独の彼女を含め10人程の乗客の誰もが無言だった。
山の余韻に浸る,安息に満ちたこのバスの空気が好きである。
 甲府駅で降りる際に,私が床に落としていた手袋を彼女が拾い,私の膝にスッと置き、お礼を言ういとまもなく降りて行く。
その洗練された,身についたさりげない親切… 山がくれたこの一期一会に感謝した。

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2023年08月24日 21時16分

蜂城天満宮 例大祭の夜

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8月24日は母の里宮である蜂城山の例大祭の夜。かっては夜店が出て参道に灯りが絶えなかったと言うが、子供のころの僅かな記憶のみで絶えて久しい。学問の神の天神様が祭られ、長きに亘り子供の書道展が山頂で行われ25日には父兄も登って表彰式が行われた。

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祭りの夜の かってはこの燈明が蜂城に灯った 

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( ふるさと。。小学児童の、この文字が心に沁みる )

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2023年03月25日 20時22分

山崎刑場跡から八人山へ

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秩父山地から南下した尾根が石和で終わる末端に山崎の山がある
過去の処刑場が石切場となり、その荒廃した様が子供心に怖かった
南無妙法蓮華経と彫った巨大な石碑が立っていた記憶がある
山崎の古跡の探訪と、意味ありげな八人山へ登りたくなった

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2022年12月05日 15時27分

中津森をめぐりて

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中津森といっても立派な独立峰で自然林に覆われた秘蜂である
昇仙峡の奥地にあって里からは見えないせいか登山道もない
眠れる獅子といった存在感に以前から惹かれていた
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10/27からの奥昇仙峡へのバス路線が、この中津森の山裾を通る

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