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2018年05月14日 13時10分 | カテゴリー: 登山

 金が岳でビビる

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バイト先の窓からいつも茅が岳がみえている

たぶんまだ20代のころ、尊敬する山の先輩と登った。

先輩はペンタックス67を持っていてツツジの花を撮っていた。その時の会話の内容やトーンまで覚えている。

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先輩は数年前に急死されてしまったが、茅が岳をみる毎にその日が蘇ってくる、

山はそんな思い出を、いつも変わらぬ姿で受け止めてくれる

窓からは金が岳から西側の尾根がみえていて、その麓の路をいつも通勤で通っている

この金が岳への西尾根を登っておけば毎日眺める景色の見え方が違うだろう

山へ登る動機の重要な部分がこれで、あそこを登ったんだという満足感を得ることにある

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西尾根への取りつきは知らないのでウロウロする前提でバイクにした

Uターンは簡単だし尾根の見極めもしやすく 至極重宝する

 取りつきはすぐわかり案外ジグザグの切ってない道を登る

いつもルートのはっきりしない道を歩いているので気楽に登り始めた

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標高が上がるにつれ緑が薄くなり芽吹きの雰囲気になってきた。

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低山は冬木立や早春までが明るくて好ましいがその後の6月から9月ぐらいまでの濃い緑はつまらない。

稜線に出る気配がしてくる頃が幸せ感のピーク。いつも今が最高なんだと噛みしめる。見通しのきく尾根にでるとありきたりの見えかたになり幸福感も並みになる(笑)

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八ヶ岳が見えてきて権現がカッコいい。このツルネ東稜も行かずじまいで終わる

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泊まりたくなる小平地 いつも習慣で目星をつけておくが大概は叶わない

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 金が岳ぐらいどうということはないと地図も下調べもなくきたが。案外にも上部の尾根が痩せてきた。木立はあるが、かなり下まで切れ落ちている。

どうということはないレベルだが予測しなかっただけにやたら怖い。

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まあ元来が臆病なほうで若いうちは克服したくて努力もした。丹沢の沢登りなどで登りは慣れたが下りの訓練にはならない。登った沢をご丁寧に下ってみて、いかに下りが難しいか認識した。

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( 西穂~奥穂間の間の岳から天狗岳 中央逆層の尾根がルート )

それで一応人並みに歩けるようになり西穂と奥穂の縦走とか北鎌尾根など行った。

昨年の夏には登山のしめくくりとしてガイドをお願いしバットレス4尾根とも思ったが、ささいな所で転倒し、もう私に望める登山でないことを知った。

気が付いてみれば、もはやこの金ヶ岳のごく普通の登山道でも怖い、臆病な登山者に戻っている。

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( 恐怖の根源 )

 一時はこの恐怖の根源は親としての責任感、つまり子育てが終わらないうちに死ぬ訳にいかないという心理からくるものだと思った。

親としての責務が終わって、また定年退職し、仕事の責任からも解放されたら怖いものはなくなるだろう、そしたら難ルートやら憧れたパラセール等にチャレンジしようかと思っていた。

ところがそうなってみて依然として怖さはなくならない。それどころか加齢による足腰への自身のなさが加わり怖さがましている。

私の考えていた恐怖の根源はとんでもない浅はかな思い違いであり、責任感の過大評価だったのだ。

それは生き物の防衛本能であり、責任感などという社会的なものとは全く無関係な根源的なものだ

 いまさら鍛錬しても無理だろうしその気もない。行きたいと思っていた、例えば剣の八つ峰の縦走やら谷川岳東尾根など、はなから無理な相談であり未練のかけらもない(笑) それでいい、むしろ我ながら潔しぐらいに思っていたが、金が岳の尾根が怖いとなれば情けない。

近々に笛吹川東沢の鶏冠山に登ろうと誘われた。

以前登ってはいるが、このていたらくではどうするか迷っている。

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極めて悪相の鶏冠山 高校生のとき友人と行き あえなく撃退された

執筆者: kazama

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