JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.

〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN

2022年09月02日 09時40分 | カテゴリー: 登山

北岳古道を探る(4) 立石探訪

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立石の尾根から吊尾根への小樺尾根とタル沢 古の経路
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 北岳の古道を探って見たが,五葉尾根,鮎差,荒川からの吊尾根,その何れも片鱗すら確認できなかった。
最近になって奈良田への年配の乗客が立石沢の全貌が見える処で降り,吊橋の痕跡を見たいとの話を聞いた。なるほど五葉尾根古道は立石とシレイ沢辺りで野呂川に降りていた筈だから吊り橋があった可能性はある。確認できれば即ち五葉尾根古道の痕跡となり立石への古道を確認できるかもしれない。
 話を聞いた3日後,芦安発0515のバスで立石に向かった。
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八月末となれば0515の始発はまだ夜明け前
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乗客は15人ほど 皆さん北岳に向かう
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立石のバス停の存在理由は手前の深沢より更に謎だった。
古道との関連性を確認できれば立石のルーツに迫ることになる。
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 立石での乗降客は過去にも皆無だったが
自分がその1人になるとは思わなかった。
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カープを曲がると堂々たる高嶺を見上げる
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尾根の末端のカーブのガートレールを超え,
未知なる領域への下降。 案外な傾斜にビビる
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気休めの装備は簡易アイゼンと8ミリローブ
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左方に降りて行くと小広い平地があった
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飯場跡らしく瓶や缶の残骸が埋もれている
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定番のバッテリー
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そこから野呂川への踏み跡を期待したが皆無だった。
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 地形図では右側の淡い尾根を降る積もりが
見てくれの緩い左側に引かれる。理論より認識の人間の性(^^)
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川床が近くなると侵食が進み,決まって険しくなる
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慎重にルートを見極め結局1時間を要し野呂川に降り立った。
案外なゴルジュや累々たる巨石で行動は阻まれる。
あわよくば深沢まで降り吊橋跡から登ろうなんで
虫のいい行動が許される状況ではない
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こんな際どい徒行を強いられる 
目標としていた対岸のタル沢付近に降りたが吊り橋は上が下か…
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遥かな高嶺の山腹に細いライン… 錆びたワイヤーが野呂川を横切っている。2つ程板がぶら下がっている…それが立石の吊り橋だった。
立石というか上のカスケ沢との中間辺りである
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そのワイヤーが2本
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上流へ30m程を難儀し吊り橋の基部を確認する。コンクリートの基部はなく岩にワイヤーを直接鉄の杭で固定している簡素な構造。土木の安全基準は長い職人的経験則から来ている。
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目標の吊り橋を発見できた安堵感と達成感に浸り野呂川の川音の中で,長い時間を偲んだ。帰路は特定した五葉尾根古道を逆に辿ることになる…やはり地形図の淡い尾根上にあることだろう。
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ところが10mと行かない内に目星の立たない急斜面になる。古道は何処に‥ 無論獣道は無数にありそのうちの都合の良いものを使う,多分そのうちの部分部分が古道と被っているのだろう。これだけの歳月を経て獣道の存在が勝るのも無理はない。
かくして古道の探索は最早無理ではないかと思うに至った。
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 登りにして案外な苦労。林道の標識が見えたのが嬉しかった。
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吊り橋からは目指す淡い尾根を外さないようにしたが、人跡は皆無
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 今回の目的のもう一つが林道の上部の尾根に『木馬道』とある鳳凰の砂払辺りに至る道を確認することである。
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屋根のトタン板か 長年の変化が岩と見分けがつかない
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トロッコのレール? 立石まで軌道はあったのか?
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定番のオイル缶。その他夥しいワイヤー類や林業の跡があった。
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立派な基礎があった。
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20x10mほどの広い敷地
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タイル張りの釜
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トイレの跡
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水槽か。。水源はシレイ沢から引いたというが。。
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ケーブルの滑車 シレイ沢との間に架線があったという
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解体した廃材が歳月に埋もれていた。。木材搬出所らしいが
ここには20m x 10m程もある建物の基礎があり釜やトイレ,
水槽,もしや風呂まであったか
… ここは深沢を上回る林業拠点だったかも知れない。
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 林業の痕跡が絶えた上部の尾根に鳳凰砂払いまでの
登山道の痕跡を探したがやはり皆無だった。
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(野呂川の流れ、吊尾根、鷲住山の奥は滝の沢頭から農鳥に至る尾根)
目標だった立石の吊り橋は確認できたが,
古道が何故立石を野呂川まで降りていったのか…
広河原を目指すならシレイ沢辺りで野呂川へ降りた方が合理性がある。
無論そのルートもあったろうが,立石ルートの存在意義が分からない。
昔のルートはそんな疑問が残る,多分それは林業や道路工事と言った,
登山以前の理由によるのではないかと推測する

執筆者: kazama

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