JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
…山の先輩の森永さんと八ヶ岳の登山を終え.カローラセダンで車中泊した時のこと…
午前2時ごろだったろうか.コンコンとガラスを叩く音がし.見ると登山者らしき人が.
「すいません」という手振りをしている。窓を下げると「仲間が苦しんでいるので水を分けて欲しい」と言う。
見るとランプの明かりの中.四人ほどの登山者の真ん中に人が横たわっている。
「わかりました」.とトランクの中の水を取りに行こうとすると.助手席で寝ていた森永さんがドアを開けて外へ行く。 私とのやり取りを見ていて.トランクにあるポリタンを取りにいってくれるらしい。
「いまトランクから水を持ってきますから」…そう言おうとして窓を見た …そこには誰もいなかった。
外に横たわる登山者も.それを見守る仲間たちもいない…薄暗い地面があるだけだった。
…いまの仲間を救おうとする登山者とのやり取りは夢だったのか…
私は戻ってきた森永さんに今のことを見たのか聞こうと思ったが言葉を飲みこんだ。
時間が経つにつれ単なる夢に思えてきたし.予科練出身の森永さんはこういう話しには取り合わない。
いつも苦笑するぐらいであり.それは私の神経の細さを笑ってるようにも思える。
たしかに自分でもそう思う。私の臆病さがこういう夢になるのだ…
しかしこの森永さんの行動との一致はなんだろう…単なる偶然の一致
…それしかない.他になにがあるというのか。
…夜明けにはまだ間がある.再びシュラフにもぐり込んで浅い眠りを得ようと目を閉じる…
山の深い夜に.私の細い神経が尖り.なかなか熟睡はできない
2014/6/15
執筆者: kazama
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