JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
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数年まえ南アルプスの笊ヶ岳に雨畑から登った時のこと、、、
標高差2000m以上の登りでへばり、テント適地の有無の不安を抱えながら10時間以上かかって辿りついた。
頂上直下にテント一張分の適地があったが、頂上ビバークにこだわり傾斜地に設営を始めた。
終わるころ「ここにしようか」という女性の声が聞こえてきた。珍しく女性パーティが後続にいたらしい、あの適地にテントを張るのだ。
いつもは不気味な山頂泊が今夜は賑やかでいいと、心強さもあって設営を終えて挨拶にいった。
…なんとそこには何もなく、ただ梢をわたる風の音がするだけだった。私は寂莫たる思いを噛みしめた。
我ながらなんという幻聴だろうか。風音をここまで具体的言葉に聞いてしまうとは、、、
そこには私の心理状態が反映しているのだろう。
単独がいい、誰もいない山の静寂の夜がいいといいながら、ホントは人恋しいのだ。
耳は音を聴くメカニズムだが、それを解釈するのは脳という情緒的で厄介な思考回路だ。
「事実とは認識でしかない」 人は認識というプロセスから逃れられない。
執筆者: kazama
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