2014年08月24日 11時59分 | カテゴリー: 登山
北岳から降りてきた人
北岳登山口の広河原バスターミナルに男女5~6人の登山者が降りてきた。
折あしくバスは行ったばかり.次のバスには2時間近くある。一行の賑やかな落胆のなかに聞き覚えのある声があった。サングラスをしているが会社の同僚だった人のように思える。流暢な喋り方は数十年前の記憶のままだ。もしそうだとしたら割と親しくした間柄だ。 しかしどうしても名前が出てこない.スーツ姿の笑顔は浮かぶが十数回の転勤先のどこで一緒だったのか思い出せない。声をかけるにも名前が浮かばないと躊躇するしグループなので余計チャンスがない。
やがて木陰のベンチに居る私の前を彼が一人で通りすぎる決定的チャンスがあった。なんとなく彼のほうも私を伺うような気配を感じないでもない。しかし喉まで出かかった声を私は飲み込んだ。サングラスをとれば別人かもしれない。それにもし再会だとしたらその重みを億劫に思うという.私の対人関係への消極性があった。 … 躊躇しているうちに彼のグループはターミナルから消えていた。乗り合いタクシーでいったのだろう。
…再び彼に会う偶然はないだろう…初秋のようか爽やかな空気のなかにぽっかりと空いた空間が心に残った。