JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
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今日は降雪直後の八ヶ岳清里冬季バスの仕事だった。
カローラバンスタッドレス4WDで私が先発し、路面状況の確認の任務。最上部スキー場の下りでは雪面にブレーキを踏んでも止まらない。状況を報告し、運休を進言した。
ドライバーが到着したので再度同乗してもらいルート見聞した。私にはバスのトラクションの程がわからない。積雪ルートの経験のあるドライバーは定期バスという使命感もあってか、状況の改善を見てやりましょうということになった。
バスが問題のスキー場に登る頃、強風にブリザードという状況になった。
張りつめた緊迫感、長く急な下りはアイスバーン状の雪面に横殴りの粉雪が舞う状態だった。
私は息を詰めて下りきり、ホッとして彼に「怖くなかった?」と聞いてみた。
彼の運転は極めて慎重だったが、怖いとかビビるとかはないという。ビビるぐらいなら運行しないのだろう。その慎重さのなかの、肝のすわった冷静さが印象的だった。
たしかに「ビビリ」は何の足しにもならない、それどころか冷静さを失い、ミスにつながる。
彼が呟いた印象的な言葉に「登れたところはなんとか下れる」というのがあった。
「登れても下れない」というのは岩登りでは半ば常識になっている。しかし一流のクライマーは登ったルートは降りられるという。たしかにホールド、スタンスがあって登ったのだから理屈では降りられるのだろう、けれど下を見る高度感が体のしなやかな動きを邪魔をする、いわばビビリが体の邪魔をするのだ。
それと同じことが、バスが登れたトラクションがあるのだから、下りのブレーキングでも、それを維持できれば下れるのだろう。むやみに恐れていても何の足しにもならない、慎重に見極めたら、肝を据え、冷静な行動あるのみなのだ。
ブリザードの中でのバスの運行は、考え過ぎでビビリ屋の私にはいい薬になった。
ふと、近所の石垣を下ってみようか---なんていう発想が浮かんだのには呆れた
執筆者: kazama
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