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2016年10月20日 14時26分 | カテゴリー: 登山

山登り。。家族の想い

9月16日に登山し、消息を絶った韓国籍女性登山者の写真が登山口に貼ってあった。

気になっていたが、もう一か月以上を経過し、降雪が迫っており、FBの登山サイトに情報提供を呼び掛けた。

9月17日AM6時ごろ北岳肩の小屋を出発し、大門沢小屋を目指したが女性は到着しなかった。

白根三山のメインルートで、同時刻のころは少なからず歩く人はいたと思われる。

すぐ反応があり、当日の強風の天候状況などが分かった。通常の範囲内では発見できなかったから転落したのだろうか

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いただいたコメントで釘付けになったのは、10月17日に韓国の遭難者の家族が山に登ってきたということだった。

女性の予定下山ルートである、難路の大門沢を上がってきて、手にはこのチラシを持ち、片言の日本語で「きをつけて」と手渡されたという。きっと娘であろう我が子が、どこを目指し、切に辿り着きたかった大門沢小屋を見たかったのではないか。。アドバイスを受けられなかったのか、軽装だったというのも無理はない。その日はもう冬季閉鎖の小屋じまい。無事に降りられたのかも気にかかる。悲嘆にくれたその眼に、南アルプスの高峰はどう映ったのだろう。。。

そして南アルプス警察の捜査は、私が呼び掛けるまでもなく、登山届を精査し、当日にこのルートを歩いた人に逐一電話をかけ目撃情報を集めていた。警察もそこまでやっていることを知り、登山届が自分のためだけでなく、貴重な情報源であることを認識した。

FBで情報をくれた方々も一様に、雪の降るまえに発見されて欲しいという。まして家族ならば、冷たい雪に覆われる我が子を想うのは耐えられないだろう。

私でさえ、暮れかかる山を最終バスで下るとき、ふと、不明者のことが浮かぶ、辿り着きたかっただろう、温かいバスに乗せてあげたかったと思う。そして暗い山に置き去りにするような感覚がある。ニュースなどで遭難と聞いてもそうは浮かんでこない、現場ならではの感覚である。

。。。私もいつも山は単独だった。おまけにマイナーな山域を好み、漠然と自分の死に方はもしや行方不明ではないかと思うことがある。

山に登る身は一つであっても、仕事であったり家族だったり、山へ登れることの背景がある。遭難は悲しいことだったが、登山の同志も発見を願い、警察もこれだけの捜査をし、人間の温かさも感じた

そして韓国からはるばる厳しい大門沢へ、せめて娘の気配を求めてきた家族に、この世の厚みと価値と、その尊さを思った。

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執筆者: kazama

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