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2017年04月25日 08時01分 | カテゴリー: 登山

妙見様から御前山南尾根

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( 中腹やや左が妙見神社 )

笛吹市の御前山の急峻な山腹に、窓のような奇怪な建物があるのを子供の頃から不思議に思っていた。

神社でもあって車道があるだろうと昨年秋に偵察したがそれらしき道は見つからなかった。

見通しの良い冬枯れのうちに探訪したいと思っていたが新緑になってしまった。

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藪漕ぎ覚悟でストックを持ち、バイクで見当をつけ山に入った。

なんらかの目印でもあるだろうと思ったが見当たらず、ついに夕狩沢の堰堤まで上がってしまう。

ここからでは急峻な斜面でとても登れない。引き返して緩くなった斜面を当てずっぽうに東へ向かって斜上した。勝算はないが神社へ向かう参道があったはずである。

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歩いても新緑で視界が利かず、もう退散しようと思ったころ四角の岩があり「七丁」とある、どうやら参道跡である。何となく石積みなどその体をなしていて嬉しくなった。20分ぐらい上がると新緑ごしに建物がみえてきた。

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子どものころから見てきた場所に初見参するのは興奮する。果たして建物は完全な廃屋で、断崖にせり出した舞台のような造りである。

結局車道はなく、ということは急な参道を太い柱などの建材を担ぎ上げたことになる。

妙見神社とされていて、このような険しく展望のよい場所に多い命名である。

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そこからの峡東地方の眺めはみごとなものであるが、今にも崩壊しそうで床の先端に乗る気になれない。

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トタン屋根になっているが瓦が一面に散乱していて一度は改築したらしい。

奉納金の表示が五円とかなっているから戦前には間違いない。

落書きが天井にかなりあり、そのなかに年号をさがしたらS43年という、割と新しい(笑)のがあった。

ちょい早いがそこでおにぎりを食べ、感慨深いひとときを過ごした。

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そこからは妙見神社のある尾根筋を登り、御前山の山城跡を目指す。

御前山は以前、傾斜の緩い北の尾根から登ったことがある。

このところ山城ずいているが、山城の見どころの一つとして防御のための遺構の名残がある。大概が防御の必要のない急峻な尾根や山腹に守られ、登られやすい緩斜面には堀切やら曲輪といった防御構造が設けられている。

軍事上の極秘という理由なのか、このような山城の存在や起源など、文献や郷土史などにも記述はなく不明なことが多い。

思うのはなぜ、このような手間をかけて護りを固める必要があったのかということである。

ひとつ想像できるのは烽火台としての通信機能は軍事上の連携を保つためであり、戦時にはその機能をマヒさせるための攻防があったのではないだろうか。

それにしても当時の鋤や鍬といった道具で山奥の土木工事は難儀そのものだったろう。

妙見神社から御前山山頂への尾根にはまったく踏みあともない急峻さで、持ってきたストックに助けられた。念のためにGPSの軌跡を引いておく。

ひとつのピークを超えると遠目には想像もつかなかった平坦な尾根が200m位あった。

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( 保存状態のよい曲輪跡 )

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いよいよ本丸の頂上へというあたりに見事な曲輪があった。その上にも3か所ほどの曲輪らしき地形があり、岩だらけの頂上についた。

前回は北から登ってきて風を避けて岩陰に座った記憶がある。たぶん同じ岩に腰を下ろし数刻をすごした。

あたりは巨岩がたくさんあって、岩穴として利用されたようなのもある。

、、、いったい何のために、、新緑の静寂のなか、少なくても500年は経っているるだろう、ここに流れた時間を想った。

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( 御前山城の想像図 画 宮坂武男氏 )

立ち去るとき、あたりをもう一度見回し、南尾根を登ったいま、たぶんもう来ないだろうここの景色をなぞった。

急峻な南尾根の下降はあんがい足に応え、また尾根の広さが方向を定めにくくする。登りは集約されるので心配はないが、下りは拡散するので注意が必要である。あんがい木立の記憶などなく、結局はGPSの軌跡を頼ることになった。

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妙見様の屋根が見えて一区切り、日が傾いてきた盆地東部の景色を目に焼き付けて下降した。

七丁の石からは参道を外れ、適当に登ってきた斜面をバイクまで戻る、ここはGPSの軌跡を引いてなかったのが気になったが、案外倒木や枝ぶりなどの記憶があって、下にバイクがみえた時はホッとした。バイクでの下りに注意してみたら何ということなく参道入口跡を発見した。

帰りのバイクで走る農道の気持ちよさったらなかった。ほんとによい山登りだった。これからは家の正面にみえる妙見様の見え方が変わるだろう。

行った場所が見えるのは、なにか嬉しく、こころの糧のような気がする。

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執筆者: kazama

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