JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
甲州の笹子といにしえの鎌倉街道を結ぶ峠の摺針峠に行ってみたかった。
この山域は超マイナーと言ってよく、私にとっても真空地帯である。
山にある峠の多くが現代では役割を終えていて、単なる稜線の弛みであることが多い。
なんとか旧来の峠道の痕跡がないだろうかと、バイクで御坂から入ってみた。
バイクはその走破性と頭上の見通しが良く、このことは大切な尾根の見極めに都合が良い。
試行錯誤しながらの入山になるような登山には小回りが効くことも絶対的な強みを発揮する。
鍵のかかってないゲートを開けて林道を走る。もう用済みの林道らしく荒れていて四輪では走れない様相になる。
できるだけバイクで登るのがいつもの私だが岩交じりのセクションになるとイメージ通り走れない。
昔の乗れていたころのイメージでラインを選んでも、いちいち岩にひっかかってしまう。パパーンといったリズムがなく、呆れるほどでまるで赤子のような無力感がある。
舗装路では普通に走れるつもりでいても、ダートや特にロックセクションになると愕然とするほど走れない。頭の中では走れる積りでいるから却って始末が悪く、またショックを受ける。老化とはこういうことなのか。。。
バイクは慎重なコースの見極めと、また思い切りよくトライするといった両面が要求される。躊躇はろくな結果にならない。自分のぶざまさに打ちひしがれた。
セローはトラクションの良いエンジン特性を持っており、さらにバックステップのスタンディングフォームをとればさらにトラクションがかけられる。
ステアリングの切れ角が大きくタイトターンができるのもセローの武器である。
スタンディングができずに両足をだしたフォームではセローの強みを発揮できない。
いちばん扱いやすいセローでさえ能力を発揮できなくなった自分。先般手放した80ccのトライアルバイクが頭にうかんだ。
バイクをあきらめて峠をめざす。当初はうっすらと踏みあとを発見したがいつしか沢筋に呑まれ、まるで丹沢の沢登りのようになる。
両岸はわりと急で登れそうもないばかりか落石が集中しそうで気になる。
峠まであと100~150mぐらいの高度差と思われる辺りで傾斜がさらにきつくなり、登れるとしても降りるのは危険だろう。こんな沢筋がルートなはずがない。きっと昔は右岸の中腹あたりを登ったのだろう。
時間は午後三時を回り、これ以上の未知の沢筋を歩くのはやめた方がいい。。
道のない沢筋を降りる足取りもまたギクシャクとしてスムースではない。高い山に未練はないが、まだまだこういう探索的な山登りはしたい。
いやそのほうが高山よりハードルが高い側面もある。バイクのライディングは仕方ないとしても、山歩きがこの足取りでは情けない。
登ってきた自分だけののトレースを見るのは気分がいい
( かなりの急坂で全開のトレースが右に流れている )もともと柔軟性はない方である、今夜からストレッチでもやるかと思いながら。バイクでは肌寒くなった御坂の長い坂を降りてきた。
執筆者: kazama
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