JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
甥の風間晋之助がダガールを走ったマシンに触れることができた。
ヤマハの本社がある磐田から運ばれ、晋之助自身もダガール以来の再会だそうだ。
私もヤマハを退職いらい数年を経て、慣れ親しんだ磐田からのマシンに身内のような感覚があった。
WR450をベースマシンとした開発と製作はフランスヤマハのDRAG’ON、racingに拠るものという。
跨ってみるとその車高の高さに圧倒された。それはYZ450Fなんてもんじゃないようだ。
ダガールのマシンにはモトクロッサーを連想するが、その軽量スプリンターとは一線を画す別物だった。
ステアリングヘッドにはナビゲーションシステムがマウントされ、その仰々しさには驚くばかり。
車高に加えその装備の顔面への近さが圧迫感とともに威圧感となり迫ってくる。
燃料タンクはリヤフェンダーの内側にもアシャルビスのものが増設され、更なる増設対応かボルト穴を埋設してある。燃料搭載量は31Lになり、装備重量は170kgになるという。サイレンサーはアクラポピッチ
リヤアームは直進性を増すため延長され、その内部はサバイバル時の水タンクとしてのレギュレーションが凄い。
エンジンはパワーアップのため、ハイコンプのピストンが組まれている。
この重量級のマシンをダートで160㌔を上回るスピードというからモトクロスとは異次元の世界である。
その車高の訳も、この重いマシンをギャップでもサスのボトムを避けるためのストロークであることに納得する
WR450FラリーSPは、迫力に呑まれ、萎縮したら乗りこなせないプレッシャーを放つモンスターマシンだった。
コースを模索しながら、この重量で一日に10回も転倒し、起こして全力で走ることがどれだけのことなのか。。。
ダガールのような長丁場には「まぐれ」はない。ライディングスキルやメンタル、体力などの欠点があれば、どこかで必ず露呈してしまう。
それはマシンにも言えて弱点があればハード極まる負担のなかでトラブルとなる。KTMの連覇は永年のノウハウがマシンのサバイバル能力として結実した結果ではないだろうか。
現代は機械文明であり、あらゆることをマシンを介して行うのが実態である。そのマシンと一体になり、弱点を知り補いながらの競技には現代性がある
報告会での話のなかで印象的だったのはラリーの舞台となる風景の美しさ、壮大さだった。
周囲は目を見張るスケールの美しさなのは解るがそれを見ている暇がないということ、それより優先すべきなのはコースのさきにギャップや石がないかの見極めに全神経を集中しなければいけない。チチカカ湖なんという、神秘の湖が横にあるというのは解りながらそれを見る暇がない。。
そのことで想うのはこのレースの贅沢さである。こういう類まれなスケールのなかで9000㌔という長丁場の競技を行うことがいかに贅沢なことであるか。。まさに地球を遊ぶ、といっていい。
そこにはフランス人の「人生は遊ぶためにある」という一見ふざけたような哲学がある。
勤勉を美徳とする日本人といちばん対極にある人生観の持ち主が、彼らフランス人であることだろう。
彼らの言う遊びとはどんなものなのか。ダガールラリーという競技ひとつを見ても、その言葉の背景になる遊びの哲学に納得させられてしまう。
風間晋之助よりの支援に対するお礼状 来年もよろしくお願いします
執筆者: kazama
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