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2014年05月13日 22時31分 | カテゴリー: 単車

さらばCL72

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   旧い友人が私が死蔵していたCL72を取りにきた。

このままいったら生家の納屋で風化するのかと思っていたので友人に譲ることにしたのだ。

   私は20才ぐらいのとき、世田谷のバイク屋で極上の程度だったCLを買った。
当時この72系の2気筒のエンジンは驚くことにクランクの位相が低速型の360°と高速型の180°という2種類が用意されていた。
よくそんな芸の細かいコストアップする販売形態を採ったものだと思う。当時としては高額の250ccの新車を買わせるにはそれだけの選択肢を設ける必要があったのだろうか。
オフロード仕様のCLは低速型の360°が多く、このCLもそうだった。私はそれが気に入らず、より高速型のバイクのCB77に積んであった305ccの180°クランクのエンジンに積み替えた。低速トルクが太くなり高速まで回るという申し分のない特性になった。
これで並みのCB72より速いCLになり、ジープが乗用車より速いようなものだから気分がよかった。

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   このCLに最後に乗った日のことは良く覚えている。
浜松に引っ越していく友人とのお別れに、彼の地元の林道を二台で走り回ったのだ。最後にお別れジャンプとかいって、地形のせいもあって予想外に飛んだ。あとにも先にも重いCLのレコードジャンプがそれだった。
 そのまま納屋にしまいこみ40年、、好きなバイクだったが私の心はより軽い2ストシングルのレーサーに奪われ乗る機会はなく、やがてジープなどに興味が移行して今日に至ったというわけだ。
   父がカバーをかけてくれたりしたが、あまりめくってみた記憶もない。心の奥底で錆びている姿を見たくなかったのだと思う。
今日ついに白日のもとに出してみて驚いた、鉄リムのサビが進んだぐらいで40年前とそう変わらない。心配していたタンクの内側もまったく無事だった。これは山梨の乾燥した空気の恩恵ではなかったろうか。オーストラリアや西海岸から来た旧車が錆びていないというが、それと同じだろう。
「これならあまり手がかからんなあ」   という彼に私も鼻高々だった。
彼も私もお互いにビカビカのレストアを好まない、できればその車の来歴を生かしたい。このCLなら、それができそうだ、、
そういう彼は内外のオフロード旧車を扱うユニオンという会社のオーナーである。私のCLの余生を託すのには申し分ない。
そうして気も晴れ晴れとトラックを見送った。しかし夜になるとなんとなく感慨が湧いてきた、40年以上も持ち続けたものが他にあるだろうか、ちょっと思いうかばない。
山梨の納屋から川崎の彼の家にいったCLの姿を想像してみる、、、
   おりしもの月明かり、CLを偲ぶにはいい晩になった。

執筆者: kazama

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