JOURNAL SKIN
by : DIGIHOUND L.L.C.
〒658-0001
Higashinada, Kobe, Hyogo JAPAN
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遠き別れに 耐えかねて
この高殿に 登るかな
悲しむなかれ わが友よ
旅の衣を ととのえよ
島崎藤村の、この歌には、抑制した情感がある
かっては感じなかった、職場特有の空気感が懐かしかった。
5年ほど通勤経路として歩いた中世の城跡、久能城を訪ねてみた。
まだ階段の歩幅や傾斜感を脚が覚えていて、蘇るものがある。
深い井戸があり、当初は退社の夕暮れ時など、その気配に総毛立った。
月見に訪れたり、冬至の晩にはテントで泊まり、ここに流れる時間に浸った。
天守の台地から会社がみえる、同僚が次第に退職し、北海道や沖縄へ帰って行く
生活の基盤となり、人生の中核をすごした職場が、しだいに縁遠いものになってゆく
この城跡にも、そんな淡々とした時間が流れ去り、いまに至っていることを想った
執筆者: kazama
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