天空見張人

   須走口を下り.もうすぐ五合目という辺りで中年の外国人の男に尋ねられた。
スバルライン五合目の案内図を手にもって須走り口駐車場を指し.あれがここかという。
あれは須走り五合目だというと悲鳴のような声を出した。
うしろで金切り声がし.大柄な奥さんらしき人が赤鬼のような形相で立っていた。
私とのやりとりを見ていて道が違うのを察知したらしい。
男が奥さんの方へいくとすごい剣幕でまくし立てた。旦那はしおれる一方だが剣幕は一向に収まらない。
無理もない.長丁場を下ってみたら.まるきり違う所である。
…頂上から降りてきてスバルライン五合目に下るには八合目で左に曲がる箇所がある。そこが須走り口と吉田口の合流点なのだ。まっすぐ下ると須走り口に降りてしまう最大の注意箇所だ。
…私のことなど眼中にないから罵声を聞きながら立ち去ったがその後どうなったろうか。
登りなおしてスバルラインまでは６時間もかかり到底無理だ。団体なら行方不明騒ぎだ…私でも途方にくれるケースである。
…あの時は剣幕に恐れをなし立ち去ったのは不親切だったろうか。。しかしなんとかしてあげる手だてもなかった…今でもすこし胸が疼く