- 留学生文学賞は、外国人留学生のための日本語文学新人賞です。
1999年暮れ、帰国を間近にした一人の中国人留学生が「記念に」と周囲に残した日本語による文章が、異文化から見た新鮮な日本を美しい言葉で表現し周囲の人々を驚かせました。
その詩やエッセイに感動した作家や詩人によってインターネットを通じて出版が呼びかけられ約300万円の資金が集まり、留学生が帰国する寸前の2000年4月に異例の早さで出版されました。
この話が新聞 雑誌によって紹介されたこともあって、出版された5000部はたちまち完売となりました。その留学生ボヤンヒシグ氏によって寄付された印税数十万円を基に、日本人有志が協力して誕生したのが、留学生の作品を対象とした初の文学賞でした。
当時「ボヤン賞」と名付けられたこの賞には全国の留学生から短編小説や詩文など多数の応募があり中国人詩人・田原(Tian Yuan.ティエン・ユアン)さんが受賞しました。
もとより賞金となった印税といっても「基金」というほどの金額ではないので、その一回だけで終わったのですが、外国人留学生の日本語作品が質的にとても高いレベルに達していることが関係者を驚かせ、感動させました。
その志を受け継ぎ、「留学生の間に眠っている文学性を作品に育てよう」と誕生したのが、現在の「留学生文学賞」です。
留学生文学賞は、日本留学から生み出された日本語による文学作品をできるだけ多くの人に知ってもらい、日本で学ぶ留学生を激励しようというものです。
現在日本には約12万人を超える外国人留学生が学んでおり、彼らの表現力は今や単なる日本語学習者の域を越えています。異文化のなかで暮らし、豊かな感性と独自の観点から生まれでる作品群は日本文化への認識を深め、世界への視野を広げることにも繋がる日本語の宝であるといえます。
賞委員会は全員が手弁当の個人有志です。豊富な資金も有力な組織もありませんが、誰でも参加できる無理のないペースでできるだけ続けていきたいと考えております。新鮮で個性的な作品を期待しています。どうぞ、ふるってご応募下さい。
- 参考資料 [ 留学生文学賞の歩み(年表) ] [ 歴代審査・選考委員名簿 ]
- 留学生文学賞委員会
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留学生文学賞の志 栖原 暁(東京大学国際センター教授 /“財団法人 日本学会事務センター刊 SCIENTIA 24号”掲載)
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